「デジタル給与」来春解禁へ 便利そうだけど安全性は? ファイナンシャルプランナーに聞く
会社が導入決定したら、どうすべきか?
Q.万が一、決済アプリの業者が経営破綻した場合、給与はどうなるのでしょうか。
長尾さん「資金移動業者が万が一破綻したとしても、賃金支払口座の残高は全額を保証するように資金保全の体制を整えることが業者側の要件とされる見込みです。またデジタル口座の残高は100万円を上限とし、残高が100万円を超えた場合には当日中に本人の銀行口座や証券口座に送金することも、厚生労働省における検討案に盛り込まれています。つまり、リスクを限定し、そのリスクは業者側が100%保全する体制を整えることで、利用者側を保護する仕組みが考えられています。
さらに資金保全に関わる保証会社や保険会社に対しても『適時に厚生労働省に報告できる体制』を求めることが検討されています。国としても資金保全の体制整備は重要事項として入念に検討しているようです」
Q.解禁されて会社が導入を決めたとき、デジタル給与で受け取るかどうか、どのように判断したらよいでしょうか。
長尾さん「普段からデジタルマネーを利用しており、なおかつATMなどで都度チャージ(入金)をしている人にとっては、一定の金額をデジタル給与で受け取ることで手間が省けるメリットはあるかもしれません。その際は過去の利用履歴なども確認し、必要最低限の金額をデジタル給与で受け取るとよいでしょう。ただしデジタルマネーを利用している人でも、指定のクレジットカードを利用するなどしてチャージ手数料が無料の人や、ポストペイ(後払い)にできている人にとってはデジタル給与で受け取るメリットはあまりないかもしれません。
これまでデジタルマネーを利用していない人はデジタル給与にも興味がないかもしれませんが、今後もキャッシュレス化の流れは続くと考えられ、キャッシュレス決済に対応できた方が便利、あるいは逆にキャッシュレス決済が利用できないと不便な世の中になるかもしれません。
もしデジタル給与が導入されたら、それをきっかけにデジタルマネーの利用を検討してみてもよいかもしれません。そういった社会の変化や、自分の生活の中でデジタルマネーを利用する場面を具体的に考えてみることが大切だと思います」
(オトナンサー編集部)
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