保育園や幼稚園で「ヒトメタニューモウイルス感染症」流行中 どんな症状? 大人もかかる?
「ヒトメタニューモウイルス」に感染すると、どのような症状が出るのでしょうか。医師に聞きました。

新型コロナウイルスの新規感染者が急増する中、保育園や幼稚園では、子どもが夏にかかりやすいとされる「RSウイルス感染症」や「手足口病」のほか、「ヒトメタニューモウイルス感染症」という病気も流行しているようです。聞き慣れないウイルスですが、感染すると、どのような症状が出るのでしょうか。また、子どもだけでなく、大人が感染することもあるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
重症化で呼吸困難に陥ることも
Q.「ヒトメタニューモウイルス感染症」が流行しやすい時期や発症しやすい年齢、主な症状について、教えてください。夏風邪の一種なのでしょうか。
市原さん「1歳から3歳の幼児に多い病気です。年間を通して発症しますが、2月から6月にかけて流行のピークを迎えます。夏風邪ではありません。
ヒトメタニューモウイルスに感染すると、発熱やせき、鼻水といった風邪症状を引き起こします。また、『喘鳴(ぜんめい)』(息を吐くときにヒューヒューと音が鳴る症状)を認めることが多く、重症化すると呼吸困難になります。肺炎を引き起こす可能性もあるので注意が必要な病気です」
Q.ヒトメタニューモウイルスの感染を疑うべき症状について、教えてください。どのように診断するのでしょうか。
市原さん「症状は風邪と同じなので、症状だけでこの病気を疑うことはできません。迅速診断キット(短時間で病原体を検出できる検査キット)を使って診断します」
Q.迅速診断キットを使わなければ、ヒトメタニューモウイルスの感染の有無が分からないとのことですが、小児科受診の目安について教えてください。
市原さん「風邪症状があっても、元気に体を動かして遊べているのであれば、あまり心配はありません。ただ、発熱でつらそうだったり食欲がなかったりするなど、明らかにいつもと様子が違う場合は、小児科を受診してください。気管支ぜんそくがある子どもや、喘鳴を認める場合は、息苦しそうではないか、大人が十分に見守る必要があります」
Q.ヒトメタニューモウイルスは子どもだけでなく、大人も感染することがあるのでしょうか。
市原さん「先述の通り、1歳から3歳の子どもに多い病気ですが、大人も感染することがあります。感染している子どもから大人にうつることも、もちろんあります」
Q.ヒトメタニューモウイルスは、市販の風邪薬での対応でよいのでしょうか。それとも、受診して処方薬をもらうべきなのでしょうか。
市原さん「ヒトメタニューモウイルス感染症に関する特効薬はないので、基本的に対症療法となります。発熱には解熱剤、せきにはせき止めなどを使って、症状が治まるのを待つしかありません。心配な人は病院で薬を処方してもらうとよいですが、市販薬でも問題ありません」
Q.ヒトメタニューモウイルスは一度感染すると、かかりにくくなるのでしょうか。それとも完治後、すぐに再感染することも多いのでしょうか。
市原さん「一度かかっただけで、免疫ができてかかりにくくなるということはありません。何度か繰り返し感染します。年齢が上がるにつれて、徐々に免疫ができて症状が軽くなると言われています」
Q.保育園や幼稚園では、毎年6月以降に「RSウイルス感染症」「手足口病」が流行する傾向にあります。ヒトメタニューモウイルス感染症とRSウイルス感染症、手足口病は、何が違うのでしょうか。症状の違いなどについて、教えてください。
市原さん「ヒトメタニューモウイルス感染症とRSウイルス感染症は症状が似ているので、症状だけで両者を区別できません。先述の迅速診断キットを使って診断します。
手足口病はコクサッキーウイルスやエンテロウイルスによって引き起こされ、口の中や手足に水疱(すいほうせい)性発疹ができ、発熱することもあります。基本的に風邪症状はなく発疹が特徴的なので、他のウイルスと区別しやすいです」
(オトナンサー編集部)
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