暖冬のはずが…各地で「雪」のトラブル 身を守るために必要なことは?
「暖冬」と言われたこの冬ですが、全国各地で雪によるトラブルや事故が多発。改めて身を守るための対策をおさらいしましょう。

1月中旬。東京都心の積雪が6センチ、横浜でも5センチを記録するなどして首都圏の朝は大混乱に陥りました。交通機関が乱れ、通勤時間帯の駅周辺には電車を待つ黒山の人だかりが発生。そして、雪道を歩行中に転倒して病院に搬送される人が相次ぎました。
また、1月末には九州・山口に大きな寒波が襲来し、各地で積雪を観測。多くの家が断水し、雪道では交通事故や転倒によるけが人が多数発生するなど市民生活に甚大な影響が出ました。「暖冬」と言われるこの冬ですが、改めて見せつけられた“雪の脅威”。
そこで今回は、雪による事故から身を守るための方法について考えます。
寒冷地以外にも潜む危険
毎年この時期になると、全国各地、特に寒冷地での雪による事故がニュースになります。2015年4月に消防庁が発表した統計によると、2014年11月~2015年3月までの期間に「屋根の雪下ろし」や「除雪作業」をしていて亡くなった人は65人に上ります。その多くが、屋根に上っての作業中や、はしごの昇降の際に誤って転落したり、滑り落ちてきた雪に巻き込まれたりしたものだそうです。
そうは言っても、雪国などでは屋根に積もった雪を降ろすのは生活上、不可欠なこと。そこで、プロスキーヤーとして長年、雪の恐ろしさを経験してきた坂本豪大さんは対策をこう話します。「作業をする時は、壁や屋根にはしごや脚立を固定して命綱をつけましょう」。また、つららによる事故も少なくなく、雪が降ったら建物の近くを歩くことや車を停めることは絶対に避けるべき、とのことです。
一方で、雪による事故は何も寒冷地に限った話ではありません。誰にでも身近な危険の1つに雪道での運転があります。
宮城・仙台では、お年寄りを乗せたデイサービスの送迎車(ワゴン車)が道路下に転落し、1人が亡くなるという痛ましい事故がありました。地面に積もった雪が一度解けて凍った「圧雪」状態の道路をスリップしたと見られています。
自動車はスタッドレスタイヤを装着していればそれだけで安全というわけではなく、坂本さんは「雪道では『急ブレーキをかけない』『車間距離を空ける』ことを意識してください」とアドバイスします。
また、この時期は駐車時にも注意が必要といいます。屋外パーキングや自宅の駐車場に自動車を停めている間、積もってしまった雪に悪戦苦闘した経験は多くのドライバーがあるはず。この時、慌ててアクセルを踏むのは逆効果になります。
坂本さんによると、「急にアクセルを踏んでも滑るだけです。進行方向に積もった雪を除いてからゆっくりと発進すればスムーズに出られます」。急な降雪や積雪に立ち往生しないよう、スコップなどを車に置いておくことも有効だそう。天気予報などを見て、雪道を走ることになりそうな場合は、前もって準備しておきたいものです。
雪道は「垂直に、歩幅狭く」
雪といえば、転倒によるけがも忘れてはいけません。少しの転倒であれば軽傷で済むことも多いのですが、打ちどころや地面の状態次第では、骨折などの大きな事故につながることもあります。
坂本さんは、転倒から身を守るための歩き方について、「足の裏全体を垂直に降ろすようにして、歩幅はなるべく狭くしましょう。雪が少なく平らな部分を選ぶことも大切です」と話しています。
(オトナンサー編集部)
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