夜中に”ギリギリ” 「歯ぎしり」治せるの? 放置するとどうなる?
放置で歯のすり減り、顎関節症の発症も
Q.歯ぎしりは、必ず音が出るのでしょうか。あるいは、音が出ないパターンもあるのでしょうか。
高谷さん「歯ぎしりは大きく次の4種類に分けられ、音の有無も異なります。(1)〜(4)の単独のケースもあれば、複数を持ち合わせる人もいますが、どのタイプも歯や体に悪影響を及ぼすため、放置せずに治療を行うことが望ましいです」
(1)グライディングタイプ→上下の歯をこすり合わせることで音が鳴る。就寝中に起こりやすいタイプ
(2)タッピングタイプ→上下の歯をぶつけ、カチカチと音がするタイプ。強くぶつける人だと、周囲に音が聞こえることもある
(3)クレンチングタイプ→仕事やスポーツなどで「食いしばる」ことが多い人に比較的多いタイプ。垂直的な圧力が強く、顎や歯に大きく負担がかかるが、音が鳴らないため、起床時に顎の疲労感や片頭痛を発症して気付くケースが多い
(4)ナッシングタイプ→歯の特定の部分で擦り合わせるタイプ。歯の一部分だけ擦り減っていくのが特徴。キリキリと音が鳴るため、周囲から指摘される可能性もある
Q.もし歯ぎしりを放置した場合、どうなることが考えられますか。
高谷さん「歯ぎしりを放置した場合、歯がすり減ったり、欠けたりする▽かぶせ物が欠ける・外れる▽インプラントのかぶせ物が欠ける▽歯根が割れる▽歯を支える歯槽骨が減る▽下顎の裏に(場合によっては上顎にも)骨の隆起を生じる▽顎関節症を発症する恐れがある―といったことが起こる可能性が考えられます。歯ぎしりを周囲に指摘されたら、まずは歯科口腔外科を専門にしたクリニックの受診を勧めます。歯の検診だけでなく、顎関節や側頭筋の評価、かむ力の評価が行えるためです」
Q.歯ぎしりの改善には、どのような治療を行うのですか。
高谷さん「まず勧めるのはマウスピースを作ることです。就寝時に上顎に装着し、夜間に上下の歯が触れ合って摩耗するのを防ぐことで、そしゃくに寄与する筋肉を弛緩(しかん)させ、顎関節への負担を軽減させます。治療期間は1カ月程度で、短期的な歯ぎしり抑制効果がありますが、数週間使用すると慣れによって効果が減少することがあります。その場合、歯列矯正で適正な歯並びをつくり、かみ合わせ自体を整えることも検討します。
環境的に歯列矯正の選択が難しい場合、歯科ボトックス治療(注射施術)によって、かむ力の適正化を図ることもあります。投与後、2週間程度で、かむ力がコントロールされますが、3~4カ月程度で後戻りが起こるため、適正なかむ力を得るまで何回か通院が必要です」
Q.歯ぎしりをしないために、日常生活上で意識・行動するとよいこととは。
高谷さん「まず、ストレスマネジメントを心掛けましょう。適度な運動や散歩などの気分転換を行い、ストレスを少しでもためないようにしてください。不眠症やうつ病、不安神経症の場合は、精神科を受診するなどして心のケアを行いながら歯科治療を進めていくことが重要です。睡眠時無呼吸症や逆流性食道炎などの基礎疾患を持つ場合、歯ぎしりを改善する上でも治療は必須です。そして良質な睡眠のために、深酒も控えましょう」
(オトナンサー編集部)
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