コンビニのサンドイッチが総菜パンより高いのはなぜ? 材料費や手間に違いある?
コンビニの総菜パンとサンドイッチでは、材料費や製造する手間は、それほど大差はないと思うのですが、サンドイッチの方が高い印象です。なぜでしょうか。

コンビニには、カレーパンやコーンマヨパンなど、さまざまな種類の総菜パンが売られていますが、サンドイッチも同様にさまざまな種類があります。しかし、唯一異なるのが価格です。例えば、総菜パンは、1袋当たり100~200円ぐらいですが、サンドイッチは1袋当たり300円以上するものもあり、100円程度の差があります。材料費や製造する手間は、それほど大差はないと思うのですが、なぜ、コンビニのサンドイッチの価格は、他の総菜パンより高いのでしょうか。コンビニの食品事情にも詳しい、飲食店コンサルタントの小倉朋子さんに聞きました。
人件費や光熱費など、コスト高
Q.コンビニの総菜パンとサンドイッチでは、材料費や製造する手間は、それほど大差はないと思うのですが、この考えは間違いなのでしょうか。
小倉さん「総菜パンとサンドイッチには、材料にも製造過程にも違いがあり、大差がないとはいえません。
総菜パンの具材は、パンの生地と一緒に焼いたり揚げたりして加熱するので、基本的には火が通っているものがほとんどです。一方、サンドイッチの具材には、レタスやニンジン、トマトといった生野菜も使用します。生野菜は、鮮度や収穫量が落ちれば使用しにくくなるので、仕入れる頻度や仕入れ先を臨機応変に変更する必要があり、材料費も変動しやすくなります。
また、総菜パンは具材をパンの生地の中に包んだりのせたりすれば、組み合わせる工程が終了するのに対し、サンドイッチは、複数の具材を機械や人の手でパンの生地に挟むなど、総菜パンよりも工程が多いのが一般的です」
Q.なぜ、コンビニのサンドイッチの価格は、他の総菜パンより高いのでしょうか。
小倉さん「1つ目の理由は、製造時の人の手による工程の違いです。サンドイッチは、総菜パンよりも人の手による工程が多いため、それが人件費となって価格に反映されます。2つ目は、賞味期限の長さが違うためです。サンドイッチの賞味期限は、総菜パンに比べて短く、廃棄するリスクを考慮して、ロス分や廃棄費用があらかじめ価格に上乗せされています。
3つ目は、売られている棚の違いです。総菜パンは常温の棚で、サンドイッチは温度の低いチルド(冷蔵)の棚にあります。冷蔵するための光熱費も、サンドイッチの価格に反映されていると考えられるでしょう」
Q.コンビニの総菜パンは、100~200円ぐらいです。この価格は、企業努力でかなり安く抑えられているのでしょうか。
小倉さん「その通りです。総菜パンは、製造工程をほぼ機械で自動化しているため、製造コストを抑えられています。加えて、大規模な工場でさまざまな種類の総菜パンを大量に製造していることや、使用する材料も大量にまとめて仕入れするため、原価率が低く抑えられていると思われます。こうしたことが、価格に反映されています」
Q.ネット上では、「コンビニのサンドイッチは高い」という投稿をよく見ます。これは、総菜パンがかなり安いため、サンドイッチが高く見えてしまうからでしょうか。
小倉さん「そのような傾向もあるのではないでしょうか。私たちは、生活においても何か基準になるものと比較して、価値判断することが多いと思います。総菜パンとサンドイッチのどちらを食べようか比較検討するのは自然な流れですし、そのときに価格を比べれば、コンビニのサンドイッチの価格が、高く思えるかもしれません。
しかし、例えば、個人経営のベーカリーで売られているサンドイッチの価格を考えれば、コンビニのサンドイッチの価格は安いという判断もあり得ます。値段が高いかどうかは、各人の価値観や判断基準をどこに置くかによって変わるといえるでしょう」
Q.今後、コンビニのサンドイッチの価格が、総菜パンの価格に近づくことはありますか。あるいは、現状の価格が限界でしょうか。
小倉さん「例えば、今後、サンドイッチの大ブームが到来して、これまでサンドイッチをあまり食べなかった人が、頻繁に食べるようになるなど市場が広がれば、価格も変わる可能性があります。今より安価なサンドイッチだけではなく、さらに高価なサンドイッチまでバリエーションが増えるかもしれません。
また、消費量が増えることで大量製造が始まれば、製造工程や製造コストも変わります。今より賞味期限の長いサンドイッチが開発されていく可能性もあります。小麦粉を含め、原材料費が安価に転じることでも価格が安価になる可能性はありますが、現状としては、今すぐに価格が変わるということはないと思われます」
(オトナンサー編集部)
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