スタバ“7店”のケースも…カフェチェーン、同一商業施設内に“大量出店” メリット&デメリットは?
カフェチェーンが商業施設内に複数の店舗を出店するメリット、デメリットについて、飲食店コンサルタントに聞きました。

スターバックス コーヒー ジャパン(東京都品川区)が、4月26日にショッピングセンター「イオンレイクタウン」(埼玉県越谷市)に、ティーメニューに特化した店舗をオープンします。それに伴い、同ショッピングセンター3棟内に、スターバックスが出店するのは7店舗目となるため、SNS上では「すごい」「笑った」「埼玉うらやましい」などの意見が上がっています。
大手カフェチェーンが商業施設内に複数の店舗を出店することで、どのようなメリット、デメリットが生じる可能性があるのでしょうか。飲食店コンサルタントの小倉朋子さんに聞きました。
商業施設の集客力に左右される
Q.カフェチェーンがショッピングセンターなどの商業施設に複数の店舗を出店するメリット、デメリットについて教えてください。売り上げが見込めるのでしょうか。
小倉さん「1つの施設に数店舗出店するメリットは、いくつかあります。例えば、その施設の利用客の生活様式に合った店舗であれば、一定数の客の来店が見込まれます。施設全体の利用客数が予測できると、食材の仕入れ数や配置する店員の人数などのめどもつきやすいので、さまざまな戦略が打ちやすいのです。
同じ施設内に複数の店舗を出店した場合、客が店舗を見掛ける機会が増えるため、ブランドの認知度向上につながるほか、商品などの配送コストが削減できます。店舗間で食材の過不足を調整しやすくなるでしょう。
一方、商業施設そのものの集客力が弱まると、全店舗がダメージを受け、一気に売り上げの減少につながりやすいです。また、施設内に強力な競合他社の店舗や人気店が出店すると、競争が激しくなり、客数の減少につながる可能性があるので、その場合はダメージが大きいといえます。つまり、客の需要の変化による影響を受けやすいのがデメリットです」
Q.カフェチェーンが1つの商業施設に複数の店舗を出店した場合、店同士で客の取り合いに発展しないのでしょうか。
小倉さん「競合他社よりも先に商業施設内に数店舗を出店すれば、競合他社が出店しにくくなる効果も期待できるため、マーケティングをしっかり行っていれば客の取り合いにはなりにくいと考えられます。
一方、複数店舗の出店に伴い、見込み客数の予測を見誤ってしまった場合のほか、環境や需要の変化などが起きると、同じチェーン内で顧客の取り合いに発展する可能性があります。これは『カニバリゼーション(共食い)』と呼ばれています」
Q.では、カフェチェーンが1つの商業施設に出店する場合、何店舗程度が望ましいのでしょうか。
小倉さん「適正な出店数は、商業施設の規模や人流、想定される顧客数などに基づいて、決まってくると思います。そのため、店舗数は一概には言えませんが、2~3店舗が一般的なのではないでしょうか」
Q.コンビニエンスストアが1つの地域に大量出店する「ドミナント戦略」がよく知られていると思います。カフェチェーンの商業施設内への大量出店も、コンビニの大量出店とメリットやデメリットは似ているのでしょうか。それとも、異なるのでしょうか。
小倉さん「地域や施設など一定のエリアにおいて、マーケティングの調査がしやすく、戦略が立てやすいというメリットは似ています。
違う点もいくつかあります。例えば、商業施設内に出店する場合、施設内の全飲食店の状況を把握することが可能なので、商品戦略や販売戦略が立てやすいです。一方、コンビニの場合、商業施設に比べて範囲が広いので、競合他社の店舗も含めた地域の全店舗の状況を把握するのは困難だと思います。
また、客数などが伸び悩んだ場合、地域であれば、出店エリアを広げるといった方法がありますが、施設の場合はエリアを広げられません」
Q.ちなみに、チェーン展開しているコーヒー店を言い表す際に、「コーヒーチェーン」という言葉も使われますが、カフェチェーンとは何が違うのでしょうか。
小倉さん「定義上、特に違いはありません。どちらもコーヒーを主力商品に据えた業態の店で、チェーン展開されているブランドを指します」
(オトナンサー編集部)
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