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見えっ張りな自分には最高、妻がいじめを心配…「タワマン」を選ぶ人、ためらう人、疑う人

水害で信用失墜

 Cさん(33歳、男性)は今年、念願かなって、マイホームを郊外に購入しました。新築の一軒家で、タワーマンションの選択肢は「全くありませんでした」と話します。それにはCさんなりの理由がありました。

「タワーマンションは、さまざまな災害による被害が心配されます。『免震構造がしっかりしているから、地震には強い』『非常用電源があるから、停電も怖くない』などと聞きますが、2年前にあった武蔵小杉のタワーマンションの水害を見て、『やはり、タワーマンションといえど弱点はあるのだ』と思えてなりませんでした」(Cさん)

 この時をきっかけに、Cさんはタワーマンションを「どうしても懐疑的な目で見るようになってしまった」のだそうです。

「『災害に無敵』みたいに売り出されてきたタワーマンションが、武蔵小杉では大ダメージを受けているのを見て、『あれは業者が販促のためにやってきた誇大広告だったのではないか』と思ってしまいました。実際に災害に強いタワーマンションもあるのでしょうが、『このタワマン建設ラッシュの中で手抜き工事されているものも、もしかしたらあるのではないか』など、タワーマンションへの信用が崩れたのです。

さらに液状化現象のリスクなんかも気になり始めて、とにかく不安が先立ってしまい、新居の購入先としては、とてもタワーマンションを選択する気にはなれませんでした」

 賃貸でも購入でも、日本人にとって新居決めは人生に数度しかない一大イベントです。Cさんのように慎重を期して、選択肢から外す人もいれば、Aさんのように強い憧れに突き動かされて、タワーマンションを選ぶ人もいます。

 タワーマンションが持つイメージは、ここ数年で大きく変化してきている印象があります。今後、さらにタワーマンションの身近さが増していけば、それにつれて世間にあるイメージも変わっていくのでしょう。今回の取材を通して、羨望(せんぼう)や嫉妬の的になりがちなタワーマンションがこれから、どう捉えられるようになっていくのか、興味深く思いました。

(フリーライター 武藤弘樹)

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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