オトナンサー|暮らしに役立つライフスタイルメディア

  • HOME
  • マナー
  • いすとソファーがあったなら…「男はいすに座るのが当然」に賛否両論

いすとソファーがあったなら…「男はいすに座るのが当然」に賛否両論

男女で飲食店に入った際、いすとソファー席があったならどちらがどちらに座るべきか。そんな議論がSNS上で交わされました。「男性=いす」という意見に対して「男女差別」「それがマナーなの」などの反論も。あなたはどう思いますか。

いすとソファーがあったら…男性はいすに座るべき?

 飲食店のソファー席の利用に関する議論が以前、SNS上で行われました。きっかけは、「交際相手の男性とカフェに入った時、男性がためらいなくソファー席に座ったことを快く思っていない。男性はソファー席に座らないでほしい」という女性の投稿。これに対し「そんなルールいつ決まったんだ」「男女差別」「それがマナーなの」という反論がある一方、「男として譲るべきだ」「『通路側が男性、壁側が女性』は国際的マナーだよね」「『女性は譲られて当然』という考え方が嫌」「どっちがいいか聞けばいいだけ」など、さまざまな声が上がっています。

 ソファー席の利用について「マナーのプロ」の見解はどのようなものでしょうか。企業や大学などで人財育成教育やマナーコンサルティングを行い、NHK大河ドラマや映画のマナー指導などでも活躍、マナー本が国内外で70冊以上(累計100万部超)のマナーコンサルタント・西出ひろ子さんに聞きました。

いすにおける“格付け”とは

Q.「ソファー席=女性」は適切だと思われますか。

西出さん「まず『いす』という家具は西洋からの文化であり、いすの種類ごとに『格付け』が存在します。たとえば、背もたれやひじ掛けのない『スツール』は格下。ソファーにおいては、一般的に、数人が座ることのできる長いものが上位、1人掛けのものが下位と言われます。そのため、レディーファーストの文化が根付いている西洋では、女性を格上のソファーに誘導し、案内するのが基本マナーとされています。今回のケースは『いす』ということからも、ソファー席に女性が案内されて座るということは適切だと言えます。また、通路側が男性で、奥が女性というのも、格上のソファーが出入り口から遠い上座に位置し、下座となる通路側にいすが配置されている、というところから来ています。道を歩く時も、カップルならば男性が車道側を歩き、女性を守るということもありますね」

Q.今回は、男性が勝手にソファーに座っていますがマナー違反に当たりますか。

西出さん「『違反』は言い過ぎだと思います。マナーは、TPPPOに応じてその言動(型・形)が変わるもの。違反などと決めつけることはありません。一般に言われているマナーの基本スタイルを知った上で、その時々どうするかということでしょう。このケースでは女性側の不満として『勝手にソファーに座られた』点が挙がっていますが、その根本は、マナーの型うんぬんを言っているのではなく、もう少し女性である自分を大切に気遣ってほしかったという気持ちがあるのだと思います。その気持ちの部分に『マナーが感じられない』と不満に思われたのでしょう。男性側に、本来のマナーである相手に対する配慮や思いやりがあれば、相手(彼女)を先に格上のソファーに案内するのが先手必勝のマナーとは言えますね。その意味でも、レディーファーストは男性が先手を取る文化。今回のようなケースは、日本でしばしば話題になりますが、特に欧米では、レディーファーストが『普通』とされている部分が大きいため、男女で店に入った時、男性が女性をソファー席に通していないと、恥をかくのは女性よりもむしろ男性となる可能性大です。グローバルな観点から見て、日本の男性にとって、レディーファーストや女性に限らずとも『相手』を優先させるという意識を日ごろから身につけておくと、ビジネスなどでも必ず役立つと思います。それが『紳士=ジェントルマン』としてできるビジネスマンの立ち居振る舞いにもつながるでしょう。もちろん、これは、男性に限ったことではなく女性も同様です。マナーは男女問わず『相手の立場に立つ思いやり』ですから」

女性側も「譲られて当然」は問題

Q.ソファー席の利用で迷った時、意識すべきことは何でしょうか。

西出さん「今回のケースでいうと、仮に男性がどうしてもソファー席に座りたい理由があれば、それを女性に伝えて『どうぞ』『いいよ』と言われてから座れば、特に問題にはならないでしょう。ここで、男性は女性に『ありがとう』とお礼を言うことをお忘れなく。一方、レディーファーストの文化にのっとる方がよいとはいえ、女性側の『譲られて当然』との考え方はお薦めできません。前述の通り『男性と女性』ではなく、あくまで『人と人』のコミュニケーションとして考えることがマナーとしては重要です。譲ってもらったら、必ず『ありがとう』とお礼を伝えることが大事なマナーです。『当然』という意識があると『ありがとう』の言葉が出てこなくなります。お礼を言われたら彼もうれしいはず。だから、その後も『ありがとう』と言ってもらえるように彼はマナーを意識して、彼女への愛ある気遣いを表現してくれるようになるかもしれません。そうすることで、お互いハッピーになれるのではないでしょうか。また、たとえば男性がけがをしていたり、体調不調だったりして、男性をソファー席に案内する方が適切な場面なども考えられます。こうした状況はケース・バイ・ケースであり、だからこそ、男性だからとか、女性だから、などと決め付けるような考え方ではなく、その都度状況を見て、コミュニケーションを取りながら判断することが、真心ある本来のマナーと言えます。相手に対する思いやりを先手で表現し『ありがとう』を言ってもらえる自分になれたらよいですね」

※「TPPPO」(Time=時、Place=場所、Person=人・相手、Position=立場、Occasion=場合)

(オトナンサー編集部)

西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント・美道家・ヒロコマナーグループ代表

大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経てマナー講師として独立。31歳でマナーの本場英国へ単身渡英。同国でビジネスパートナーと起業し、お互いをプラスに導くヒロコ流マナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナー研修やおもてなし、営業接客マナー研修、マナーコンサルティングなどを行い、ほかに類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績は、テレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「花燃ゆ」「龍馬伝」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」など、ドラマや映画、書籍でマナー指導・監修者としても活躍中。著書に、28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)「マンガでわかる! 社会人1年生のビジネスマナー」(ダイヤモンド社)「マナーコンサルタントがこっそり教える 実は恥ずかしい思い込みマナー」(PHP研究所)「運のいい人のマナー」(清流出版)など国内外で70冊以上。最新刊「かつてない結果を導く 超『接待』術」(青春出版社)が2017年8月25日に発売。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)、プレミアムマナーサロン(http://www.erh27.com)。