休憩中ガムをかんでいた部下が「上司と話す時にかむな」と怒られブチ切れ…どっちの言い分が正しい?
休憩中にガムをかんでいたら、『上司と話す時にガムをかむな』と頭をたたかれた部下が上司にブチ切れた――。そんなひと幕がSNS上で話題となっています。二人とももう少し互いを思いやる気持ちが必要だったかもしれません。
「休憩時間中にガムをかみながら上司と話したら怒られた」という投稿がSNS上で話題に。投稿者によると「新人が休憩時間にガムをかんでいるところへ、部長が仕事の話をしに行き『上司と話す時にガムをかむな』と頭をたたいたところ、新人が『人がガムかんでる時に話しかけたのはお前だろ』とブチ切れた」とのこと。
これについて「休憩時間をどう過ごそうが勝手」「休憩中に仕事の話をする方がダメ」という新人擁護派と、「上司が話しかけてきたのにガムかみながらの対応はNG」「休憩時間でも目上の人と話すのにガムはあかん」という部長擁護派が“論戦”を繰り広げる一方「お互いに配慮は必要」「頭たたいたらダメ」「休憩終わったら来てね、でいいじゃん」などの意見も見られます。
それでは「マナーのプロ」の見解はどのようなものでしょうか。企業や大学などで人財育成やマナーコンサルティングを行い、上司と部下のコミュニケーションやリーダー育成、新人教育、営業接客マナー、接遇などのマナー本が国内外で70冊以上(累計100万部超)のマナーコンサルタント・西出ひろ子さんに聞きました。
お互いを思いやるマナーの実践を
Q.マナー的観点からすると、新人と部長のどちらの言い分が正しいのでしょうか。
西出さん「今回のケースで、どちらが正しいか正しくないかについて判定することはできないでしょう。ただし、職場で起きた今回の状況を分析すると、相手が部下であることや『上司と話す時にガムをかむな』という言い方、休憩時間という状況などから、マナー的観点からすると、先に話しかけてきた上司の方が部下に対して配慮すべきことがあったと思います」
Q.こうしたシチュエーションの場合、お互いどのように振る舞うのが理想でしょうか。
西出さん「それは、お互いを思いやるマナーを実践することです。今回のケースでいうと、まず上司は部下に対し、休憩時間であることに配慮すべきです。しかし、急用などどうしてもそのタイミングで仕事の話をしなければならない場合もあるでしょう。その時は、『休憩中に申し訳ないけど』などのクッション言葉を用いて話しかけることが重要です。相手に対して配慮ある声かけをすれば、部下もその気持ちに応える心を持っているはず。そうすれば、ガムをかんでいることへの配慮をしたかもしれません。一方、上司が100%マナーある言動でコミュニケーションを取ったにもかかわらず、部下が無礼な態度をしたのであれば、注意されても仕方ないでしょう。ただし、頭をたたくなどの行為はNG。その場合は素直に『失礼しました』と謝罪し、ガムをかむのをやめましょう」
西出さん「部下としては、時に今回のような『理不尽』とも取れる上司の対応に遭遇することもあるはず。そうした場面でネガティブな感情が生まれるのは自然で、その気持ちもよくわかります。しかし、そこでブチ切れて、上司に対して『お前』などと言うのはよろしくありません。すぐに感情的な表情や態度、言葉に表してしまうと、結果的に損をする可能性があります。本当は相手が失礼だと思っても、場合によっては一歩譲って忍耐することは自身の成長につながります。悔しい思いや経験をグッとこらえ、乗り越えることは後に必ずプラスに働きます。自分に起きることは、自身を高めるためのメッセージと前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。互いが不快になったり、トラブルに発展したりすることのないよう、常日頃から相手の立場や状況に立つマナーの心を持ち、互いを慮る環境を作れるとよいですね」
(オトナンサー編集部)
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