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「孤独」は“弧毒” 「人間関係整えよ」と精神科医が警鐘を鳴らす理由

近著に「精神科医が見つけた3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法」がある、精神科医でベストセラー作家の樺沢紫苑さんに「孤独」がもたらす弊害について聞きました。

「孤独」がもたらす弊害とは?
「孤独」がもたらす弊害とは?

 緊急事態宣言も解除になり、私たちの生活は平常に戻りつつあります。そのような中、人間関係構築の重要性を説く精神科医がいます。今回は、精神科医でベストセラー作家の樺沢紫苑さんに「孤独」がもたらす弊害について伺いました。近著に「精神科医が見つけた3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法」(飛鳥新社)があります。

孤独とは「孤毒」のことである

 少子高齢化が進む日本において、「孤独」は大きな社会問題として考えられています。出生数は低下、2020年もコロナ禍の影響を受け減少になると予想されています。さらに、婚姻数も低下していることから、出生数のさらなる下押し要因になると考えられています。

「孤独は寿命を縮めるという研究がたくさんあります。例えば、社会的つながりを持つ人は持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する(ブリガムヤング大学の研究)と分かっています。最も健康に悪い生活習慣として喫煙が知られますが、孤独による病気の死亡率などを調べると、孤独は喫煙に匹敵するほど健康に悪いという結果が出ています」(樺沢さん)

「孤独は『孤毒』とでも言うべき、身体にとって『毒』であり、健康を害するということです。『孤独』となり、オキシトシン的幸福が失われると、『健康』というセロトニン的幸福も連鎖的に失われてしまうのです」

 では、孤独にならないためにはどうすればいいのでしょうか。樺沢さんは「つながり」を自ら構築すべきだと主張します。

「人と『つながる』には労力が必要です。誰にも連絡せず、誰とも会わなければ、人間関係は疎遠になり、次第に『孤独』になっていく。つまり、『つながり』を意識して生活する、自分から積極的に人間関係を構築する、自分から人とつながり関係性を深めていく、といった努力が絶対に必要です」

「何となく毎日暮らしていて、偶然、誰か素晴らしい人と出会うことはありません。突然誰かから、『楽しいイベント』に誘われることもないのです。何もしないで家にこもっていると孤独になります。ですから、人とつながるために自分から行動、活動する。人とつながる、深める意識が重要です」

 樺沢さんのYouTubeチャンネルに「友達ができません」という質問が時々送られてくるそうです。答えは「友達はできるものではなく作るもの。何もしないで黙って待っていても勝手に友達はできない」と解説します。明確な意思を持って行動しなければ友達はできないのです。

友達ではなくまず「仲間」を作る

 しかし、「友達を作る」というのは大変です。内向的な人の場合は簡単には動けません。樺沢さんは「友達を作るよりも仲間を作ろう!」とアドバイスをします。「仲間」とはどういう存在でしょうか。

「友達と仲間の違いは何でしょう。友達は『友情』でつながった関係ですが、『仲間』は『共通の目的』でつながった関係です。例えば、高校生のあなたがバスケットボール部に入ったら、あなたはその一員となり、他の部員は『仲間』となります。『バスケ部』への所属意識が生まれ、お互い助け合い、励まし合う。練習は厳しいかもしれませんが、一緒にやり抜くことで、結果として『仲間意識』でつながり、連帯感が高まります」

「『仲間』はコミュニティーに所属することによって自然発生的に生まれるのです。とはいえ、その仲間全員と仲がいいとは限りません。仲のいい人もいるし、気が合わない人、仲の悪い人もいるでしょう。コミュニティーの中に何人か、気の合わない人がいることは当然のことです。仲のいい人との間に『友情』が発生し、さらに深い友人関係に育っていく。仲間→友達という流れであれば友達が作りやすいのです」

 仲間を作るためには、コミュニティー(グループ、団体)に所属することが必要です。趣味サークル、スポーツサークル、同好会的なもの、勉強会や習い事やスクールなどが挙げられるでしょう。最終形としては自分でコミュニティーを作ることが重要だと樺沢さんは言います。

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

コラムニスト、著述家。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。代表作として『頭がいい人の読書術』(すばる舎)など21冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も絶賛公開中。

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