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春から小学1年生、教室でお漏らししなくて済む方法

春から小学校に入学する子どもを持つ皆さんが、今のうちから心掛けておいた方がよいことがあります。例えば、「トイレ」に関することの習慣付けも大切です。

「トイレに行きたい」と意思表示できる?
「トイレに行きたい」と意思表示できる?

 あなたのお子さんは、外出先でトイレに行きたくなったとき、公衆トイレを見つけて「トイレに行きたい」と自ら意思表示ができますか?

 もし親が、子どもがトイレに行きたくなりそうな時間を気にして「ほら、そろそろトイレに行ってきた方がいいんじゃないの」と過保護・過干渉にしていると、子どもが小学校に入学した後、困ったことになるかもしれません。

保育園や幼稚園とは違う

 小学校1年生は多い場合、35人クラスです。小学校は幼稚園・保育園とは異なり、一人一人の体調管理を、幼児期のようにきめ細かくは見てくれないこともあるでしょう。

 小便は「そろそろ出したいな」とある程度予測できますが、大便はそうはいきません。急に便意を感じることもあります。朝、自宅を出る前にきちんと出ていればよいのですが、朝出ていなかったり、おなかが緩かったりした場合は、外出先でトイレに行かなくてはならない事態に陥ります。

 さて、子どもが小学校に入学後、授業中に大便をしたくなったとき、自分で先生に助けを求めることができるでしょうか。

 おなかの調子が悪く、授業中に大便をしたくなったとしましょう。保育園・幼稚園時代は、モジモジしている様子に先生が気付いて、「トイレに行ってらっしゃい」と耳元で声掛けをしてくれます。しかし小学校では、そこまではやってくれません。そのため、我慢の限界が来たときに自ら「先生、おなかが痛いのでトイレに行ってきてもいいですか」と言える勇気が必要になってきます。

 先生が気付いてくれるまで待ってしまい、万が一そこで漏らしてしまった場合、その子は6年生になるまでずっと、周りの友達から「教室でお漏らしをしたやつ」と言われてしまい、恥ずかしい思いを抱えながら学校生活を送ることになるかもしれません。実際、口では言われなくても、「僕はそう思われているかもしれない」と居心地が悪くなってしまう可能性もあります。

 そして、その出来事が原因で「また、お漏らししそうになったらどうしよう」という強迫観念にとらわれてしまい、登校を渋るようになってしまうかもしれません。

今から少しずつ準備を

 大便と違って、小便は予測ができます。保育園では時間を見計らって子どもたちをトイレに行かせますが、小学生になると自分で判断しなくてはなりません。それを見越して年長児には、あえて先生からトイレの指示を出さないようにしている園もあります。

 小学校では、自分で時計を見て「休憩時間にトイレを済ませておこう」とある程度計画する必要があります。休み時間、遊びに夢中でトイレに行かず、チャイムとともに教室に入ってしまった場合、授業中にトイレに行きたくなることもあるでしょう。先生に、「どうして休み時間に済ませておかないの」と叱られてしまうかもしれません。そのため、家庭でも親が先回りしてトイレの指示を出すことを、だんだんと減らしていくのがよいでしょう。

 こんな話があります。ある小学生の女の子が体育の時間、喉が渇いて仕方がない状態になりました。しかし、そのことを先生に切り出す勇気がなく、先生が気付いてくれるまで待っていたため、具合が悪くなってしまいました。

 具合が悪くなるまで気が付かない先生側もアンテナが低いかもしれませんが、小学生は幼児とは違います。休み時間に水分を取るのをうっかり忘れたとき、もし耐えられなくなったら、たとえ授業中でも「どうしても喉が渇いて我慢できないから、水を飲んできていいですか」の一言が言える勇気が大事です(ただし、夏場は熱中症対策で机に水筒を置かせる学校もあります)。家庭で、子どもが言う前に親が先回りして「水を飲んで来なさい」と促すのは控え、できるだけ子どもが自ら発信するようにしつけておくことも大切ですね。

 この春、ピカピカの1年生となる年長さんは、親も子どもも期待に胸を膨らませていると思います。小学校でうまく生活していけるすべを、今から子どもに少しずつ身に付けさせていきましょう。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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