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「鬼滅の刃」強要し、相手の好みを否定する「キメハラ」はなぜ起こる?

キメハラから見えてくるものは?

Q.もし、子どもが学校などでキメハラのようなケースに遭遇した場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

石川さん「子ども社会は大人以上に同調意識が強く、ささいなことがきっかけで、仲間外れやいじめが起きる傾向があります。そのため、キメハラのように特定の子どもが排除されたり、周囲から否定的に見られたりすることはあり得るでしょう。

一方で、『ささいなこと』という点を意識することが大切です。例えば、お子さんがキメハラで仲間外れになったとします。仮にその理由が『みんなが見ているアニメを知らない』『仲間の話題についてこない』というものなら、『たかがその程度』です。たかがその程度の理由で誰かをいじめたり、仲間外れにしたりするような同級生なら、そもそも、友達でいる必要があるでしょうか。いじめられる自分が悪いなどと決して考えず、相手の小ささを冷静に見て、相手にしないことが大切です。

また、『十人十色』という言葉があるように一見、みんなが同じように思えても、実は性格や考え方、生活状況はそれぞれ違うのです。『仲間外れにするような心ない子がいる一方で、どこかに自分を理解してくれる友達も必ずいる』といったアドバイスを子どもにしてもいいのではないでしょうか」

Q.では、子どもにキメハラのような行為をさせないために親ができることはありますか。

石川さん「『一つはすべてではない』という思考を育てるようにしましょう。要は柔軟で多面的な視点を持つように子どもに教えるのです。

例えば、お子さんに『あなたの性格は?』と聞いてみます。仮に『明るい』と返ってきたら、『本当にそれだけ?』と問いかけてみます。すると、『ときどき落ち込む』『実は結構暗いかも?』といった別の答えが出てきます。自分自身が『一つ』で言い表せるものではないのですから、他人や社会も同様に『一つ』で言い表すことはできません。『あなたの性格が一つの言葉で言い表せないように、他の人にもさまざまな面や考え方がある』と教えてほしいと思います」

Q.今回のキメハラ騒動から見えてくる社会的な問題点はありますか。

石川さん「キメハラは数年前からSNSで見られる『不謹慎狩り』に通じるものがあるように思います。不謹慎狩りとは、大きな社会問題などが起きたときに『謹慎』『自粛』をしない人を糾弾することです。例えば、地方で地震があり、被災者が大変な苦労をしているとします。そんな状況下で、別の地域に住む人が『外食して楽しかった』『旅行に行って、はじけてきました』などと個人の充実ぶりを投稿すると、『不謹慎だ』と攻撃され、投稿者のSNSが炎上するなどします。

コロナ禍の今、長期の自粛や制限が課せられ、多くの人に生活や将来不安が高まっています。出口の見えないトンネルのような毎日で、キメハラの元となったアニメ映画『鬼滅の刃』の大ヒットは明るいニュースともいえるでしょう。その明るい現象に乗ってこない、ブームを受け入れようとしない人が逆パターンの不謹慎狩りで攻撃されているのかもしれません。

特に、職場や夫婦間、友人間など身近な関係性ではより同調意識が求められるため、『自分に従わない人』『共通性を持てない人』を責める可能性があります。コロナ禍だからこそ、『せっかく見つけた感動や喜びをなぜ理解しないのか』とより怒りが増してしまうことも考えられます。いずれにせよ、キメハラのような行為をなくすためには、高まる社会不安に何らかの改善のめどが立つことや、私たち一人一人が心の余裕、柔軟性を持つことが必要だと思います」

(オトナンサー編集部)

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石川結貴(いしかわ・ゆうき)

ジャーナリスト

家族・教育問題、児童虐待、青少年のインターネット利用などをテーマに豊富な取材実績を持つ。ネット、スマホの利便性の背後にある問題に追った著書「スマホ廃人」(文春新書)は、国公立大学入試問題に採用されている。2020年から共同通信社の配信により、全国の地方新聞で「スマホ世代の子どもたち~大人の知らない最新事情」を連載。テレビ出演や全国各地での講演会など幅広く活動する。その他の著書は「子どもとスマホ」(花伝社)「ルポ 居所不明児童」(筑摩書房)など多数。

コメント

1件のコメント

  1. 題名そのものから「きめつ」けてますやんか。