オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

テレワークで初経験? 腰に激痛「ぎっくり腰」の原因・治療・予防法

突然、腰に強い痛みが起こる「ぎっくり腰」。コロナ禍でテレワークを始めてから、経験した人もいるようです。原因や対策を整形外科医に聞きました。

「ぎっくり腰」はなぜ起きる?
「ぎっくり腰」はなぜ起きる?

 突然、腰に強い痛みが起こる「ぎっくり腰」。重い荷物を持ち上げたときなどに起こりやすいイメージを持つ人も多いと思います。ネット上では、コロナ禍の影響で仕事をするデスク環境が変化し、腰の不調を感じている人もいるようですが、中には「テレワークになってから、人生初のぎっくり腰をやってしまった」「腰にだるさがあって、重いものを持ち上げるのが怖い」「ぎっくり腰予備軍かも」など、ぎっくり腰の恐怖におびえる人も少なくないようです。

 テレワークへの切り替えがもたらし得る「ぎっくり腰」のリスクについて、かわかみ整形外科クリニックの川上洋平院長に聞きました。

くしゃみがきっかけの場合も

Q.そもそも、ぎっくり腰とは何でしょうか。

川上さん「ぎっくり腰の正式名称は『急性腰痛症』といい、重いものを持ち上げたり、くしゃみをしたり、靴を履こうとしたりしたときや急な腰の反り返しなどによって起こることが多いです。腰椎(腰骨)は5個の椎骨(ついこつ)で構成されていますが、それを支えている椎間板や関節、筋肉(筋膜)や靱帯(じんたい)などに部分的な損傷が起こり、強い痛みを生じると考えられています」

Q.「ぎっくり腰予備軍」とは、どのような人・状態のことを指すのですか。

川上さん「ぎっくり腰を起こしやすい要因として、腰に大きい負担のかかる姿勢や動作(長時間の立ち仕事、中腰の姿勢、重いものを持つなど)▽疲労▽運動不足▽ストレス▽睡眠不足▽喫煙▽偏った食生活――が挙げられます。20歳以下の人にみられることはほとんどなく、椎間板や関節などの加齢現象が始まる30代以降の人や、過去に急性腰痛を経験した人は注意が必要です。また、明確な予兆はありませんが、腰に何となく違和感があったり、疲れがたまっていたりする場合も要注意です」

Q.テレワークへの切り替えなどによる作業環境の変化によって、腰痛を自覚する人や実際にぎっくり腰を起こしてしまった人が増えているのは事実でしょうか。

川上さん「事実です。実際に私どものクリニックでも、テレワークに伴って生じる腰痛やぎっくり腰で受診される患者さんが増えています。その要因として、テレワークによる運動不足やオフィスと異なる環境で長時間、普段と違う姿勢をとることが考えられます。

例えば、ダイニングテーブルで仕事をしたり、ワンルームマンションの場合はソファとローテーブルしかなく、床座りで作業せざるを得なかったりする人もいることでしょう。自宅はオフィスのように仕事をする環境が整っていないことが多いため、腰痛の要因になりやすいといえます」

Q.ぎっくり腰と「かなりひどい腰痛」はどう違うのですか。

川上さん「ぎっくり腰は寝返りや起き上がり動作、前かがみ姿勢などによる運動時の腰部痛が主な症状で、安静時の痛みは少なく、『いつから痛いのか』が明確なのが特徴です。

一方、『かなりひどい腰痛』という医学的な表現はないので、慢性腰痛について説明しますが、慢性腰痛は安静にしていても痛いことがあり、いつの間にか痛みがひどくなっているのが特徴です。慢性腰痛の原因となる疾患には、椎間板ヘルニアや骨粗しょう症などがあります。また、正しくない姿勢や蓄積された疲労、運動不足、肥満などから、慢性の腰痛が起きることもあります」

Q.ぎっくり腰を起こしてしまったときの対処法を教えてください。

川上さん「ぎっくり腰のほとんどは自然に症状がなくなっていくので、自然治癒を妨げないように過ごすことが大切です。無理をせず、安静にしてください。横になって、膝・股関節を軽く曲げた状態で休むのがよいでしょう。腰部を冷やすのも効果的ですし、痛み止めの服用も有効です。炎症が起こっているので、当日は入浴を避けた方がよいと思います。しばらくはマッサージなども控えましょう」

Q.医療機関を受診すべき目安はありますか。また、医療機関ではどのような検査・治療が行われるのでしょうか。

川上さん「多くは1~2週間程度で自然に回復していきますが、ぎっくり腰を繰り返していると椎間板ヘルニアを併発したり、慢性腰痛へ移行したりすることがあるため、正しい対処が大切です。特に、下半身に痛みやしびれの症状が出現した場合は、椎間板ヘルニアなどの病気が隠れていることがあるので、医療機関を受診しましょう。

検査では骨折の有無、神経を圧迫していないかなどを確認します。治療としては、解熱鎮痛薬や筋弛緩(しかん)薬などの消炎鎮痛剤を処方したり、神経の近くに局所麻酔薬を注射する『ブロック注射』をしたりして、痛みの軽減を図ります。また、症状に合わせたリハビリや電気刺激療法・けん引療法による筋肉の緊張緩和を行うほか、コルセットにより患部の安静を保つこともあります」

Q.ぎっくり腰は再発することも多いのでしょうか。

川上さん「一度、ぎっくり腰を経験すると、その後の1年間で約4分の1の患者さんが再発するといわれています。腰を支える筋肉が弱いままだったり、腰に負担をかける体の使い方をしていたりすると、ぎっくり腰を繰り返してしまうので注意が必要です」

Q.コロナ禍の影響で引き続き、テレワークをしている人も多いと思います。テレワークの環境下で、ぎっくり腰を予防するために心掛けるべきこととは。

川上さん「腰に負担がかかるような長時間の座位作業(座りっ放し)を避け、適度に体を動かしたり、ストレッチをしたりするようにしましょう。また、ストレスが続くと痛みに敏感になります。音楽や食べ物など自分の好きなものを生活に取り入れ、ストレスを軽減しましょう」

(オトナンサー編集部)

川上洋平(かわかみ・ようへい)

医師・医学博士・整形外科専門医

神戸大学医学部卒業。米国ピッツバーグ大学留学、膝スポーツ疾患や再生医療を学び、北播磨総合医療センター、神戸大学病院、新須磨病院勤務を経て、患者さんにやさしく分かりやすい医療を提供することを目的に、かわかみ整形外科クリニックを開業。日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会認定医、再生医療学会認定医。英文論文執筆多数。専門は膝関節外科、スポーツ障害、再生医療。かわかみ整形外科クリニック(https://kawakamiseikei.jp/)。

コメント