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都の1時間150円ベビーシッター事業に「税負担が周知不足では?」の声、都に聞く

東京都の「ベビーシッター利用支援事業」について、「税負担が跳ね上がることがあまり周知されていない」という声がネット上で上がっています。都に聞きました。

ベビーシッターを1時間150円で利用できても…?
ベビーシッターを1時間150円で利用できても…?

 子育て支援策の一つとして東京都が実施している「ベビーシッター利用支援事業」について、「『1時間150円で利用できる』という点ばかりが強調されて、税負担が跳ね上がることがあまり周知されていない」という声がネット上で上がっています。

 待機児童の保護者などを対象に、1時間最大2400円(都が支援する際の上限)かかる利用料のうち、自己負担が150円(2020年4月以降、3月までは250円)で済むという魅力的な制度に見えるのですが、都や市区町村の負担額が利用者の「雑所得」とされ、所得税や住民税が上がるというのです。東京都保育支援課の担当者に聞きました。

年70万円課税のケースも

Q.事業の概要を教えてください。

担当者「待機児童になった0~2歳児の保護者や、育児休業を終了して年度途中で復職する人が、お子さんが保育所に入所できるまでの間、利用していただける事業です。都が認定している事業者のベビーシッターに依頼した場合、1時間150円の自己負担で利用できます。

事業は2018年12月から始めており、現在の自己負担額は1時間250円で、1時間150円は今年4月からです。細かい要件は市区町村ごとに異なります」

Q.「税金が跳ね上がる」との声がネット上で上がっています。例えば、年収300万円の人が月160時間(1日8時間×20日)利用した場合にかかる税金を教えてください。その場合、実際の個人負担額は1時間いくらくらいになるのでしょうか。

担当者「都のパンフレットなどで、助成額が利用者の『雑所得』となり、確定申告が必要になることや、後日、所得税などが課税されることを案内しています。税額の試算も公表しています。質問の条件の場合、あくまで概算ですが、所得税と住民税の合計で月当たり5万9200円、年間で71万400円が課税されます。

税額を含めると、1時間当たりの個人負担合計は520円となります」

Q.確かにパンフレットには「1時間150円」の下に「確定申告により、後日、所得税等が課税されます」とあり、Q&Aの末尾にも「後日、所得税等が課税されます」とありますが、Q&A欄の「利用料の他にかかる費用はありますか?」という質問には、税金のことはありません。

担当者「パンフレット以外にも、利用希望者には『利用約款』をお渡しして、確定申告が必要になることを知らせています。実際に利用する段階になって、区役所や市町村役場に申請する際も、確定申告が必要になることを認識しています、といった重要項目にチェックをしてもらって署名していただいています。

その後、さらに、助成券を発行するためのIDをお知らせする際にも、もう一度確定申告のことを案内しています」

Q.利用者数の実績を教えてください。予算で見込んだ人数は。

担当者「2018年12月25日に事業を始めており、2018年度は14人でした。2019年度は12月末時点で約250人です。予算上の規模では550人の利用を見込んでいましたが、予算要求のときに比べ、待機児童数が減っており、対象となる人が減っているという事情があります」

Q.利用者から「税金がこんなにかかると思わなかった」というような声は出ていませんか。

担当者「利用した人から、そのような声は今のところありません。ただ、『(利用を)検討したけれども税金のことも考えて利用しなかった』という声は聴いたことがあります」

Q.子育て支援の助成に税金がかかるのは国の問題ですが、都として要望などはしているのでしょうか。

担当者「地方自治体が行う子育て支援の取り組みについて、税制上の扱いで配慮してもらうよう、国に対して要望はしています。ただ、国としても『状況を調査してから』ということで時間がかっているようです」

Q.今後、税金を含めた実際の負担額が分かりやすいよう周知する予定はありますか。

担当者「パンフレットで『150円で利用』と記した欄に書いていますし、Q&Aなどでもお知らせをしているという認識です」

 ちなみに、SNS上では「税金の説明はQ&Aの最初に載せるべきだ」「だまされる人が出るのでは?」「税金を考えてもベビーシッターの利用料金としては安い」「保育園に入れるまでの一時的な利用なら、それほど負担にならないのでは」などの声が上がっています。

(オトナンサー編集部)

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