レンジは解凍ムラも…食材ごとのベストな「解凍」方法を解説、「冷凍」の注意点も
肉や魚などの食材を電子レンジで解凍した際、部分的に冷たくなっていることがあります。うまく解凍する方法はあるのでしょうか。

長期保存のために肉や魚などの食材を冷凍保存している人も多いことと思いますが、電子レンジで解凍した際、部分的に凍ったままの状態であることも珍しくありません。ただ、再度レンジを使うと加熱し過ぎて食材が柔らかくなったり、やけどをしたりする可能性もあります。食材の品質を維持しつつ、うまく解凍する方法はあるのでしょうか。
食材の適切な冷凍・解凍方法について、料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。
生魚は氷水解凍がおすすめ
Q.電子レンジで肉や魚などを解凍した際、解凍しきれていない部分が残ることがあります。食べ物をムラなく解凍する方法はあるのでしょうか。
関口さん「肉や魚などの生ものは、解凍時に『ドリップ』といわれる水分が出ることで、うま味や食感などおいしさが失われるとともに解凍ムラが出やすくなります。できるだけドリップを出さず、おいしさを保つためには解凍温度が重要で、本来、冷蔵庫でゆっくり解凍するのが理想的です。電子レンジで時短解凍する場合は、この原理にできるだけ近づけてください。
基本的に、電子レンジは水分子を振動させることで熱を発生させるので、全体が均等に凍った状態から解凍を始めるのが理想です。冷凍庫で肉や魚を保存する際は包材パックごとではなく、例えば鶏肉なら、1枚ずつラップに包んでから入れると凍結がスムーズに進み、解凍もしやすくなります。
ドリップが出始めると、その部分が他の部分よりも温度が上昇しやすくなり、加熱ムラの原因となるため、解凍時にドリップを取り除く必要があります。そこで、電子レンジを使う際は耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、その上に直接、食材を載せた上で、レンジの解凍機能または100~200ワットの低温で解凍してください。解凍時に発生したドリップがキッチンペーパーに吸収されます。
またその際、途中でレンジを止めて食材を裏返し、解凍を再開させて満遍なく熱が行き渡るようにしましょう。その後、中心部がまだ硬いくらいの状態で食材を取り出し、加熱調理したり、刺し身にしたりするとよいでしょう。
中心部がまだ硬くても、包丁が入る程度ならそのまま調理に使えます。電子レンジで完全に解凍させると、一部が煮えていたり、ドリップがかなり出たりしてしまいます。どうしても完全解凍したいのであれば、電子レンジである程度まで解凍し、最後の一部だけ常温解凍すると、比較的コンディションの良い解凍が可能です」
Q.食材によって適切な解凍方法は異なるのでしょうか。
関口さん「食品の特徴に応じた解凍方法は3種類あります。肉や魚など生ものは、ドリップが出にくい冷蔵庫解凍がベストです。パンやカステラのほか、どら焼きなどの焼き菓子、ケーキ、和菓子は常温(15~30度)で自然解凍します。なお、パンは凍ったままでも自然解凍したものでも、トースターやオーブンで一気に高温で焼くとおいしく調理できます。
総菜や麺類などの冷凍食品、冷凍ご飯は、冷凍のまま一気に電子レンジ加熱するのに向いています。餅は自然解凍か電子レンジの解凍機能で常温まで戻し、トースターで焼いてください」
Q.流水解凍した方がいい食材はありますか。
関口さん「生の肉や魚は、密閉した袋に入れて流水解凍や氷水解凍すると短時間で、しかもドリップをあまり出さずに解凍できます。特に、生食する魚は氷水解凍がおすすめです。氷水解凍は0度近い温度で、高い熱伝導性のある水の力を活用することで、冷蔵庫解凍よりも早く、品質を保ちながら解凍できる方法です。食品を密閉袋に入れ、空気をしっかり抜いて食品表面が全て水に沈むようにします」
Q.ほかに食材を解凍する際の注意点はありますか。
関口さん「肉や魚は常温で自然解凍しがちですが解凍中、常温に長くさらすと、未加熱の食品は酵素の反応が活発になり、表面から変色したり臭いが出たり、保水性が落ちたりします。時間はかかりますが、翌朝使う場合は前日の夜のうちに冷蔵庫へ、当日夜使う場合は朝のうちに冷蔵庫へ移しておきましょう。また、パンは電子レンジで解凍すると多くの水分が蒸発するため、表面が硬くなってしまいます」
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