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白鵬の「張り手」バッシング ルール違反でない以上、批判はアンフェアでは?

ルールで禁止することの是非は?

Q.ネット上では、「現状のルールは張り手やかち上げを禁止していないので、ルールを変えて禁止してはどうか」という意見もあります。誰もがフェアに感じる解決策として、どのような方法がベストなのでしょうか。

江頭さん「ルールブックに書かれていない、マナーや対戦相手を思いやる気持ち、格下の力士に最高の相撲を取らせ、育成する姿勢、どんな相手に対しても手を抜かず全力を出すことなどは、相撲文化の一部です。全ての事柄をルールブックに書くと、力士に自己判断を求める必要がなくなり、『相撲道』ではなくなってしまいます。

その技を磨く稽古を通じて人格の完成を目指すことが、相撲道の理念です。現在の規則でも、横綱は他の力士と異なる存在であり、規則が異なるのです。自分の成績よりも、相撲界全体のこと、力士として模範であることが重要なのです。その上で、土俵上で勝利できる鍛錬を積んでいなくてはなりません。

残念ながら、今回の騒動は、相撲をよく理解していない人たちの誤解だと思われます。白鵬自身も誤ってしまっています。解決策としては、横綱昇進前に徹底的な研修を行うことです。外国人力士も増えているので、大関の間に横綱としての振る舞いを学び、実行できるか否かも横綱審査対象にするのです。過去の横綱が部屋の垣根を越えて指導をしてはどうでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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江頭満正(えとう・みつまさ)

独立行政法人理化学研究所客員研究員、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事

2000年、「クラフトマックス」代表取締役としてプロ野球携帯公式サイト事業を開始し、2002年、7球団と契約。2006年、事業を売却してスポーツ経営学研究者に。2009年から2021年3月まで尚美学園大学准教授。現在は、独立行政法人理化学研究所の客員研究員を務めるほか、東京都市大学非常勤講師、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事、音楽フェス主催事業者らが設立した「野外ミュージックフェスコンソーシアム」協力者としても名を連ねている。

コメント

1件のコメント

  1. 白鵬の張り差しや、肘打ちにつき、禁じ手ではないから認めるべきであるという説がある。それでは白鵬に対して、他の力士が張り差しや肘打ちをやれると思うのか。横綱の特権として、優先的に認めてよいのか。この視点に立ってこの問題を論評するものが、ないのは残念である。