ミカンの「極早生」「早生」「中手」「晩生」、それぞれの特徴や読み方は?
ミカンには「極早生ミカン」「早生ミカン」「中手ミカン」「晩生ミカン」などの呼び名があります。それぞれ、どのように違うのでしょうか。
ミカンがおいしい季節です。ミカンといえば、「極早生ミカン」「早生ミカン」「中手ミカン」「晩生ミカン」といった呼び名でスーパーに並んでいるのをよく見かけますが、これらの呼び名について、ネット上では「まず読み方が分からない」「どう違うの?」「選び方が知りたい」などと疑問に感じている人も少なくないようです。
ミカンを選ぶ上で知っておきたい呼び名の種類と違いについて、料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。
生育期間や収穫時期で分類
Q.「極早生」「早生」「中手」「晩生」とは何でしょうか。読み方も含めて教えてください。
関口さん「稲(お米)や果物などの作物について、それぞれの中で、品種などを生育期間や収穫時期で分類する際の名称です。収穫までの生育期間が短い順に『極早生(ごくわせ)』『早生(わせ、そうせい)』『中手(なかて、「中生」と書かれることも)』『晩生(おくて、ばんせい)』と読みます」
Q.では、ミカンの「極早生」「早生」「中手」「晩生」とは何でしょうか。
関口さん「かんきつ類の中で『ミカン』と総称される果物には、産地をはじめ、交配や品種改良などから生まれたさまざまな種類が存在しますが、日本のかんきつ類出荷量の約7割を占める『温州(ウンシュウ)ミカン』について説明します。
温州ミカンと一口にいっても、100種類以上の品種があるとされ、先述した作物一般と同様、生育期間や収穫時期によって4種類に大別されます。収穫までの生育期間が短く、収穫時期が早い順に『極早生』『早生』『中手』『晩生(おくて、ばんせい)』といわれ、中手は生育期間の標準として位置付けられています。
極早生、早生は普通より早い時期に収穫されるミカン、あるいは早く収穫できる品種で、逆に晩生は普通と比べて収穫までが長いミカン、長くかかる品種です」
Q.この4種類について、さらに詳しく教えてください。
関口さん「ミカン農家さんはシーズン中に長く出荷できるよう、収穫時期の異なる品種を作り、リレー出荷ができるよう取り組んでいるようです」
【極早生(ごくわせ)】
夏の名残がある9~10月ごろに出荷されます。皮は薄く青みが強く、身が締まって硬い、小ぶりのミカンです。「青切りミカン」「青ミカン」とも呼ばれ、爽やかな香りとジューシーさが特徴なので、酸味が強めで甘酸っぱいミカンが好きな人におすすめです。ミカンの粒を包む房が比較的薄いので食べやすいのも魅力です。品種としては『日南1号』『宮本早生』などです。
【早生(わせ、そうせい)】
10月下旬から12月ごろに出荷されます。皮は黄色みが強く、甘みと酸味のバランスがよい人気のミカンです。極早生よりもやや大ぶりで皮が柔らかく、袋も薄くて食べやすいです。『宮川早生』『興津(おきつ)早生』などがあります。
【中手(なかて)】
「普通温州」といわれ、11月下旬から12月下旬ごろに出回るミカンです。酸味が少なめで甘みが強いのが特徴です。皮は濃いだいだい色でやや厚く、大ぶりで、横から見ると楕円形をしています。袋は早生に比べるとやや厚くなりますが、日持ちがよいです。『石地』『南柑(なんかん)20号』などが該当します。
【晩生(おくて、ばんせい)】
12月下旬から3月ごろに出荷される、シーズン最後のミカンです。収穫後1カ月ほど貯蔵して甘みを強めるのが特徴です。皮は濃いだいだい色で厚みがあって柔らかく、日持ちもよいです。袋はやや厚めですが、程よい酸味とコクのある甘さが楽しめます。『青島温州』『紀の国温州』などが晩生です。
Q.この4つ以外の呼び名はあるのでしょうか。
関口さん「『極晩生(ごくおくて)』という、和歌山県で作られる温州ミカンがあります。糖度が高く味が濃厚で、栽培が非常に難しいとされる希少種です。また、三重県の特産品として、一番乗りで出荷されるフレッシュ感満載のミカン『超極早生(ちょうごくわせ)』も存在します」
Q.なぜ、4つの呼び名があるのですか。
関口さん「先述したように、近年では温州ミカンだけでも100種類以上あるので、収穫時期で分類するためです。『早晩性(そうばんせい)』といって、作物や品種ごとの栽培期間や特性で分類する呼び方が、それぞれの収穫時期に合わせて付けられたとされています」
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