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コミケ会場に暑さ対策で“麺つゆ”持参 SNS上で「命の水」の声も、効果はある?

次に、医師の見解は?

 次に、内科医の市原由美江さんに聞きました。

Q.麺つゆを水で薄めたものは、暑さ対策、熱中症対策に有効でしょうか。

市原さん「暑さ対策や熱中症対策を目的として、薄めた麺つゆを飲むことは、塩分の過剰摂取につながる恐れがあり、あまりお勧めできません。そもそも、熱中症は暑さによって水分やミネラルが失われることによって起こりますので、熱中症予防には、水分やミネラルがバランスよく含まれているスポーツドリンクが適しています。

また、熱中症になってしまったときには、失われた水分やミネラルを効率よく体に吸収させることが必要なので、スポーツドリンクよりも、糖分が控えめで塩分が多めに設定されている経口補水液が適しています。

麺つゆは、どのメーカーも、通常希釈時の塩分濃度が100ミリリットル当たり約3.5グラムです。一方、経口補水液の塩分濃度は100ミリリットル当たり約0.3グラムですので、麺つゆは約10倍もの濃い塩分が含まれています。理論的に、麺つゆを通常の希釈よりもさらに10倍薄めて飲めば水分、塩分は適量になると考えられますが、少し薄めた程度で飲んでしまうと塩分の過剰摂取になるので注意が必要です」

Q.だしが入っていることを評価する声がネット上にあります。だしが入ることで、健康上の良い点があるのでしょうか。また、飲みやすさが増すといった効果はありますか。

市原さん「だしに含まれるうまみ成分によって飲みやすさは増すと思いますが、健康上、特に有益な点はないかと思います」

Q.太り気味の人の場合、麺つゆを飲むことで血圧に影響することはあるでしょうか。

市原さん「太っているからといって、必ずしも血圧が高いわけではないので何とも言えませんが、血圧が高めの人、元々高血圧の人は特に注意が必要です」

Q.お勧めできないとのことですが、熱中症対策として麺つゆを使いたいという人がいたら、どのような点に注意すればよいでしょうか。

市原さん「先ほども述べましたが、理論的には通常の10倍に薄めた麺つゆの塩分濃度は経口補水液に近いので、熱中症になったときの対策として、水分と塩分摂取はできると思います。

しかし、麺つゆはそもそも、麺を食べるときに使うものであり、長時間持ち歩くことによって生じる腐敗などの悪影響が検討されていないので、積極的にお勧めできません。熱中症の症状で具合が悪く、家にスポーツドリンクや経口補水液などがない場合に仕方なく、緊急的に使う程度にとどめてください。熱中症対策にはあくまで、スポーツドリンクや経口補水液の方が適しています」

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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