仕事は命よりも大切ですか? 「死ぬ前に会社を辞める」ができない理由
自らも自殺寸前まで追い詰められた経験のある、汐街コナさんの新著「ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました」をご紹介します。

厚生労働省(平成30年版自殺対策白書)によると、平成29年の自殺者数は2万1321人で対前年比576人(約2.6%)減少したことが明らかになりました。しかし、「自殺」は何の前触れもなく、原因が特定されないケースが少なくありません。
「死ぬくらいなら会社辞めればいいのに!」と言う人がいます。不思議なもので、人は追い詰められると辞める行動が取れなくなってしまうのです。今回は「ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました」(サンマーク出版)を紹介します。
著者は、汐街コナさん(イラストレーター/漫画家)、監修は、大石雅之さん(精神科医/大石クリニック医院長)。12万部を超えた「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない理由(ワケ)」(あさ出版)に続く第2弾となります。
会社や仕事にしがみついてはいけない
汐街コナさんは、自殺寸前まで追い詰められた経験があります。判断能力が奪われていると、適切な行動が取れなくなるのです。
「『死ぬくらいなら辞めれば』ができないのは、判断力が奪われてしまうからです。自分のことを思い返すと、他人を中心に考えてしまうことがありました。『会社や顧客に迷惑がかけられない』『親に心配はかけられない』『デキないヤツに思われたくない』などが挙げられます。自分を後回しにしているうち、手遅れになってしまう危険性があるように思います。まず、自分の命と人生を最優先に考えることが必要です」(汐街コナさん)
「死ぬ気で頑張れ、絶対死なないから」。筆者が30代の頃に勤務していた大手人材ビジネスA社では、こんな言葉が飛び交っていました。毎年100名近くが入社して、約1年で同じ人数が辞めていきます。社員数は減りますが目標やノルマは変わりません。2カ月連続で目標を達成できないと、グループのメンバーから詰問されます。
「彼が目標を達成できない理由は何だと思いますか」「何を改善すれば目標を達成できると思いますか」「彼が目標を達成するための行動計画を提出してください」。毎月こんな状態なので、うつ病になる社員が増えていきます。社長は言います。「つまり、それってクセみたいなもんだな」「死ぬ気で頑張れ、絶対死なないから」。
当時でも重大な労基法違反ですが、会社とは不思議なもので、環境に慣れてしまうと、何が普通で何が異常か分からなくなるのです。「頑張れ」も希望がある人には響きますが、希望がない人に響くことはありません。
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