トランプ政権に欧州政治、中国景気…2017年に待ち受ける“波乱”とは
各国中銀のかじ取りは難しい
中国も引き続き気になります。秋に共産党大会(全人代)を控えて、政府は経済成長目標の下方修正とともに、不動産投資など膨張した信用の収縮に向けてかじを切る可能性があります。人民元が大きく下落するリスクもあります。米国の利上げなどを背景に、すでに中国から資金が流出しているようです。人民元買い介入の結果、外貨準備(や米国債保有額)は大幅に減少しており、どこかで人民元安が容認されるかもしれません。それは米中通商摩擦を激化させるでしょう。
中国景気が失速するようであれば、さまざまな資源の価格に下落圧力が加わるでしょう。そうでなくとも、産油国の減産協定が破られれば、あるいは米国のシェール産業が大幅な増産に踏み切れば、原油価格に下落圧力が加わりそうです。
そのほかにも中東、東アジア、ロシアなどを含め地政学的なリスク要因は散見されます。
かかる状況下で、各国の中央銀行は金融政策の慎重なかじ取りを迫られるでしょう。米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを続けるでしょうが、トランプ政権の財政政策が大きな「不確実性」として意識されています。日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」をいつまで続けるのか、それが可能なのか――。日銀同様に、欧州中央銀行(ECB)も国債購入の限界が近いと指摘されていますが、ユーロ圏の政治不安や不良債権問題に鑑みれば金融緩和を続けざるを得ないかもしれません。
いずれにせよ、世界の金融市場はますます密接にリンクしています。金融政策の小さなミスが増幅されて世界に拡散する可能性にも注意を払う必要がありそうです。
(株式会社マネースクウェア・ジャパンチーフエコノミスト 西田明弘)

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