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下見を申し込んだら成約済み…不動産業者の「おとり物件」、その目的や法的問題とは?

不動産情報サイトを見て「格安物件だ!」と下見を申し込んだものの、「つい先ほど入居者が決まってしまって…」と言われた経験、ありませんか。

空き部屋だと思って下見を申し込んだら…
空き部屋だと思って下見を申し込んだら…

 賃貸物件探しで、不動産情報のサイトを見て「格安物件だ!」と下見を申し込んだものの、「つい先ほど入居者が決まってしまって…」と言われた経験はありませんか。手違いで情報更新が遅れたのならまだしも、不動産業者の中には、入居者が決まっているのを知りながら好条件の物件の情報を出しっぱなしにする、いわゆる「おとり物件」を掲載しているところがあるようです。

 こうした行為に問題はないのでしょうか。不動産コンサルタントの田井能久さんに聞きました。

宅建業法違反に対する行政処分の例も

Q.「おとり物件」とはどのようなもので、なぜ、情報を掲載しているのでしょうか。

田井さん「おとり物件とは、『実際には存在しない物件』『実際に存在していても部屋は埋まっていて取引の対象となり得ない物件』『実際に存在していても取引の意思がない物件』です。これらを出す主な理由としては、おとり物件が不動産業者にとっての目玉商品となって集客効果を高めると考えられているからです」

Q.おとり物件を出しているのは、一部の不動産業者なのでしょうか。

田井さん「おとり物件を掲載した『おとり広告』について昨秋、公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会が調査しています。過去の実績から『おとり広告』を行っている疑いのある首都圏の31社を調べたところ、7社の広告に『おとり広告』があったそうです。ただ、その詳細な内訳は分かりません。

『実際には存在しない物件』を広告に出すのはかなり悪意があり、そうしたことをする業者は昨今少ないと思います。しかし、手違いや情報の行き違いなどですでに入居者が決まってしまったのに広告を出し続けることは、むしろよくあることだと思います」

Q.法的な問題はないのでしょうか。

田井さん「あります。公益社団法人全日本不動産協会のホームページでも、おとり物件は宅地建物取引業法(宅建業法)32条(誇大広告等の禁止)、および『不動産の表示に関する公正競争規約』(表示規約)21条に違反する行為である旨記載されています。宅建業法違反に対する行政処分としては、2017年に福岡で、賃貸物件を主に扱う全国的な有名チェーン店舗が再発防止を求める措置命令を受けた事例があります」

Q.部屋探しをしている人が、おとり物件を見抜くコツはありますか。

田井さん「妙に条件がいい物件に注意を払うことや、信頼できる業者を探すことが大切です。ただ、多くの賃貸物件は複数の業者に仲介を依頼している場合が多く、連絡の行き違いやチェックミスから、結果として『おとり物件』になってしまう可能性もあります。そこで、業者に案内される前に自ら住みたいエリアに足を運び、空室であることが確認できる物件を見つけた後で、その物件を扱う業者を探すという方法もあります」

Q.もし、おとり物件の存在を知ったら、どこに通報すればよいですか。

田井さん「その業者が存在する都道府県の、宅建業を管轄する部署に相談できます。また、おとり物件を掲載しているポータルサイトや宅建業の業界団体にも相談できると思います。広告がきちんとしているかという点では、不動産公正取引協議会連合会の各地区会が不動産広告の相談などを受け付けているようです」

(オトナンサー編集部)

田井能久(たい・よしひさ)

不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー

大学卒業後、国内最大手の不動産鑑定事務所に勤務し、1995年に不動産鑑定士資格を取得。その後、米国系不動産投資ファンドで資産評価業務を担当し、全国各地でさまざまな物件の現地調査と価格査定を行った。2006年に独立し、タイ・バリュエーション・サービシーズ(http://www.valuation.co.jp/)を設立。海外事業も展開。1000件以上の評価実績を有する。滞在型余暇を楽しむ人に助言する「ロングステイアドバイザー」でもあり、2015年、マレーシアの企業と業務提携。MM2H(マレーシアの長期滞在ビザ)取得アドバイス業務を行い、自身も2018年にMM2Hを取得。名古屋地方裁判所の民事調停委員や愛知大学非常勤講師も兼務。

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