米FRB、1年ぶり利上げ決定で今後はどうなる?
市場の関心は今後の利上げペース
さて、市場が関心を持っているのは、今後の利上げペースがどうなるかという点です。今後について声明文では、「FFレート(政策金利)の緩やかな引き上げだけが正当化されるだろう」として、従来の見解を繰り返しました。
ただし、声明文と同時に公表された経済・金融政策見通しは2017年中に3回の利上げを示唆する内容でした。前回9月時点では2回だったため、ややタカ派色(利上げに積極的)を強めたことになります。これがサプライズだったために、予想通りの利上げだったにもかかわらず市場金利やドルは大幅に上昇しました。
FOMC後の会見で、イエレン議長は「財政政策の変化を見通しに盛り込んだ参加者も数人はいた」「完全雇用を達成するのに、財政刺激が必要ないことは明らかだ」と語っています。これはトランプ次期大統領が主張している減税やインフラ投資に言及したものとみられます。そうした財政面からの景気刺激は必要ないし、実現するならば利上げのペースが早まる可能性もあるというメッセージでしょう。
トランプ次期大統領は、2018年2月に任期を迎えるイエレン議長を再任しない方針を公言しています。イエレン議長の発言はそれに対する意趣返しと取れなくもありません。
いずれにせよ、FRBの利上げペースが早まるかどうかは今後の経済・物価動向とともに、トランプ次期大統領の経済政策がどのように実現するのか(しないのか)に大きく依存することになりそうです。
(株式会社マネースクウェア・ジャパンチーフエコノミスト 西田明弘)
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