フリマアプリで「盗品」が出品・購入された場合、運営会社は法的責任を問われる?
さまざまな世代が利用するフリマアプリですが、盗品が出品されるケースもあるようです。盗品が購入された場合、運営会社は法的責任を問われるのでしょうか。

さまざまな世代が利用し、多様な出品物があるフリマアプリですが、中には盗品が出品されるケースもあるようです。もし、盗まれた物であるとは知らずに出品を継続し、当該の品物が購入された場合、フリマアプリの運営会社は罪に問われるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
「盗品等に関する罪」とは?
Q.そもそも、盗品を売買した場合、どのような罪に問われるのでしょうか。
牧野さん「窃盗犯本人や盗品と知った第三者が、フリマアプリなどを通じて盗品を処分した場合、詐欺罪(刑法246条、10年以下の懲役)が成立する可能性があります。盗品の購入者が、仮にそれが盗品であることを知っていれば購入しなかったと考えられるため、詐欺罪の構成要件を満たすからです(最高裁1954年2月27日判決)。
また、窃盗犯以外の第三者が、物品を盗まれた物と知って処分することについて、刑法256条の『盗品等に関する罪』で定められています。無償で譲り受けた場合、つまり、タダでもらった場合は3年以下の懲役、『運搬・保管・有償購入・あっせん』は、10年以下の懲役および50万円以下の罰金となる可能性があります」
Q.出品された物品が盗品であると知って情報を掲載した場合、フリマアプリの運営会社は罪に問われるのでしょうか。
牧野さん「運営会社自体が、詐欺罪(刑法246条)や盗品等に関する罪(刑法256条)に問われる可能性があると思います」
Q.出品物が盗品であるとは知らずに情報を掲載し続け、結果的に売れてしまった場合はどうでしょうか。
牧野さん「管理責任を問われ、詐欺罪や盗品等に関する罪の『ほう助罪』に問われる可能性がありますが、適切な監視と削除を行っていたのであれば、罪に問われる可能性は低いでしょう。2017年7月に徳島県内の書店で大量の本を万引きし、『メルカリ』に出品していた女が逮捕された事案を受け、メルカリは盗品対策のため悪質な取引について(1)捜査機関との頻繁な情報交換(2)盗品の出品情報が捜査機関から寄せられた場合は、削除や利用停止措置を講じる――などの厳重な対応措置を行っていると発表しています」
Q.盗品と知らずに、フリマアプリで購入した人は罪に問われるのでしょうか。
牧野さん「購入時点で事情を知らなかったため、『盗品等に関する罪』は成立しないでしょう」
Q.フリマアプリで購入した物品が到着後、盗品であると分かった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
牧野さん「盗品だと認識した後もそのまま黙って所持していると、『遺失物等横領罪』(刑法254条、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料)が成立する可能性があります。購入後、盗品だと気づいた時点で、フリマアプリの管理者や警察へ通報すべきでしょう」
Q.通報したら、購入者は所有権を失い、購入金額も戻ってこないのでしょうか。
牧野さん「購入時点で事情を知らなかった場合、民法192条の善意取得に当たり、所有権を取得することになりますが、盗難被害を受けた人は盗難時から2年間、購入者に対しその物の回復を請求することができます(民法193条)。そのため、回復請求されると購入者は所有権を失います。ただし、購入者は、盗品の販売者に対して損害賠償請求ができます」
Q.フリマアプリ上で盗品が販売されているのを発見した場合、どのように対応すべきですか。
牧野さん「管理者や警察に通報するなどの対応をすべきでしょう」
(オトナンサー編集部)
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