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大手3社が開発強化 コンビニ業界は「PB商品」戦国時代に突入するのか

ヒット商品を連発するローソンの秘密

Q.PB商品の開発期間は。また、商品に携わる人の数は。

渡辺さん「商品によって異なりますが、半年から1年で開発するケースが多いと思います。『こういうものが作りたい』とバイヤーが提案することもあれば、『こういうものが流行しているのでどうか』と、メーカーから提案する場合もあります。商品開発に携わる人は、各社とも100人程度だと思います。ローソンだけは、地域限定商品の開発に力を入れており、各地域でバイヤーを充実させています」

Q.ローソンは新商品が次々とヒットしていますね。

渡辺さん「大手3社の中でも群を抜いて面白いですね。ローソンで商品を探すときは宝探しのように楽しめます。なぜ、話題性のある商品が次々と誕生するかというと、グループ内でさまざまなタイプの店舗やサービスを抱えていて得意分野が多く、新たな発想が生まれやすいためです。ローソングループでは、子会社が運営するチケット販売サービス『ローソンチケット』の影響で、昔からエンタメを中心とした話題に強く、商品開発には遊び心を持って取り組む傾向があります。

また、安価な商品が特徴の『ローソンストア100』、健康志向の商品を取りそろえた『ナチュラルローソン』、さらに2014年に傘下にした高級スーパーの成城石井があるため、他社に比べ、商品を試せる場があります。これまで培った知見を生かすことで、各店舗のターゲットに合った商品開発ができるだけでなく、店舗の垣根を越え、さらに幅広い客層に売れるものを作るなど、柔らかい発想を持って商品開発に取り組むことも可能です。

『面白い奴が面白い商品を作る』というのが商品開発の本質ですが、ローソングループにはそうした人材が育つだけの下地があると思います」

Q.その他のコンビニの得意分野は。

渡辺さん「セブン-イレブンは弁当や冷凍食品など、中食(弁当や総菜、調理・加工された食品を指す)が強いです。職人のように、徹底的にこだわり抜いて製造しています。弁当がおいしいのは、かつてセブン&アイ・ホールディングスの会長を務めた鈴木敏文さんの影響が大きいと思います。商品開発時に、鈴木さん自ら弁当を味見していましたが、鈴木さんの舌と一般消費者の舌の感覚が合っていたからこそ、おいしいお弁当が誕生したと思います。

他社のトップは会食が多いそうです。高級な物ばかり食べていたら、庶民受けする商品はなかなか作れませんよね。また、以前のセブン-イレブンではやらなかったような、外部とのコラボ商品も積極的に開発するようになりました。今後もどんな商品が出るのか楽しみです。

ファミリーマートは親会社の伊藤忠商事が繊維に強いことから、衣料系の商品が強いです。無印ブランドの商品の取り扱いをやめ、事業を見直すようになってからは品質がとても向上しています。無印良品を扱っていたときより、利益率が20%ほど上がったと推測しています。コンビニにおけるPB商品は今後、戦国時代を迎えるかもしれません」

(オトナンサー編集部)

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渡辺広明(わたなべ・ひろあき)

流通アナリスト、マーケティングアナリスト、コンビニジャーナリスト

1967年4月24日生まれ。浜松市出身。東洋大学法学部経営法学科卒業後、ローソン入社。22年勤務し、店長、スーパーバイザーを経てコンビニバイヤーを16年経験、約700品の商品開発を行う。同社退社後、pdc、TBCグループを経て、2019年3月、やらまいかマーケティング(https://www.yaramaikahw.com/)を設立。同時期に芸能事務所オスカープロモーションに移籍し、オフラインサロン「流通未来研究所」を開設。テレビ、ラジオなどで幅広く活動する。著書に「コンビニの傘はなぜ大きくなったのか」(グーテンブック)「コンビニが日本から消えたなら」(KKベストセラーズ)

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