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なぜ「おでん」販売をやめるコンビニが増えているのか

冬の定番「おでん」ですが、コンビニエンスストアの中には、販売を中止する店舗も出てきています。その背景とは。

「おでん」は冬の定番商品だが…(2018年1月、時事)
「おでん」は冬の定番商品だが…(2018年1月、時事)

 冬の食べ物といえば「おでん」が思い浮かびますが、今年は、おでんの販売を中止するコンビニエンスストアが増えています。以前であれば、コンビニ各社は「だしがうまい」「全品70円セール」などと宣伝し、積極的におでんを販売していました。おでんがコンビニの店頭から消えつつあるのはなぜでしょうか。流通アナリストの渡辺広明さんに聞きました。

人手不足や調理の手間が主要因

Q.なぜ、おでんを取り扱わない店舗が増えているのでしょうか。

渡辺さん「(1)アルバイト店員が集まらないことによる人手不足(2)おでんの調理に手間がかかる(3)ファストフードの取扱商品数の増加(4)廃棄などコストがかかる――が主な要因です。

おでんの調理や容器の清掃には1時間半から2時間ほどかかりますし、調理後も温度管理、賞味期限切れの具材の廃棄、つゆの追加など、販売する上でやるべきことがたくさんあります。また、以前から“出来たて感”のある食べ物のニーズが高まってきており、コンビニ各社は唐揚げなどに代表されるファストフードの商品数を増やしてきました。

ただ、ファストフードもおでんと同様、店員が調理するため手間がかかります。おでんに加え、ファストフードも調理しなければならないということで、人手不足の店舗では手が回らない状況に陥っています。

このほか、コンビニ各社ではトラブル防止などの観点から、調理後4~8時間程度経過したおでんを廃棄するルールを定めています。商品の見栄えをよくするために、調理容器いっぱいに具材を詰めるので廃棄量が多くなる傾向にあります。廃棄した食品の廃棄コストは、基本的には大部分を加盟店が負担することになっているため、店の経営を圧迫する要因になります」

Q.そもそも、おでんが最も売れる季節は。また、おでんの採算ラインは。

渡辺さん「11月中旬から下旬がピークで、その後は販売を終了する翌年2月に向けて徐々に下がっていきます。寒さを感じ、コードを着るようになったタイミングで売り上げが伸びるケースが多いです。

おでんは1日100個売らないと採算が取れない商品だといわれています。おでんは1人4~5個買うことが多いので、1人5個買うと仮定すると1日当たり20人、1時間当たりで1~2人に売る必要があります。売るのは簡単に聞こえるかもしれませんが、シーズン中に毎日100個以上売り続けている店舗はそれほど多くありません」

Q.コンビニ各社は加盟店に対し、おでんの販売を強く求めているのでしょうか。

渡辺さん「業界最大手のセブン-イレブンがおでんを積極的に販売したこともあり、コンビニ業界ではこれまで、『おでんを売るのが当たり前』『おでんを売らないのはありえない』という考え方が主流でした。強制的に販売させるような空気がありました。

コンビニ各社には、加盟店を指導するスーパーバイザー(SV)と呼ばれる役職の社員がいます。彼らにとって、担当店舗に対し(1)おでんの取り扱い、早期販売を徹底させたか(2)クリスマスケーキ、おせちなど季節商品の予約をどれだけ多く獲得させたか――などが重要な評価項目となります。来店客におでんの取り扱いを認知させ、11月のピーク時に売り上げを伸ばすために、8月から販売を開始させるケースが多いです。

コンビニ本部のこうした慣習が、おでんの無理な販売を定着させたといっても過言ではありません。ただし、現在は人手不足や食品ロスの問題などがあるため、販売を強制させることは減り始めています」

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渡辺広明(わたなべ・ひろあき)

流通アナリスト、マーケティングアナリスト、コンビニジャーナリスト

1967年4月24日生まれ。浜松市出身。東洋大学法学部経営法学科卒業後、ローソン入社。22年勤務し、店長、スーパーバイザーを経てコンビニバイヤーを16年経験、約700品の商品開発を行う。同社退社後、pdc、TBCグループを経て、2019年3月、やらまいかマーケティング(https://www.yaramaikahw.com/)を設立。同時期に芸能事務所オスカープロモーションに移籍し、オフラインサロン「流通未来研究所」を開設。テレビ、ラジオなどで幅広く活動する。著書に「コンビニの傘はなぜ大きくなったのか」(グーテンブック)「コンビニが日本から消えたなら」(KKベストセラーズ、12月27日発売予定)

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