使い勝手や万引き被害は? 大手コンビニも実験中の「無人店舗」、国内で普及するか
小売業界では、人手不足を背景に店舗の無人営業化に向けた取り組みが進められています。今後、広がっていくのでしょうか。
小売業界では、人手不足を背景に店舗の無人営業化に向けた取り組みが進められています。JR東日本の子会社、JR東日本リテールネット(東京都新宿区)は7月30日、駅ナカコンビニ「NewDays」の無人店舗をJR武蔵境駅にオープン。客は店内に設置されたセルフレジで決済します。ローソン(東京都品川区)も8月23日、横浜市内の店舗で、深夜限定で売り場を無人営業する実証実験を始めました。
無人店舗の開設で人手不足解消が期待される一方、ネット上では、使い勝手や万引き被害も懸念する声も出ています。国内で無人店舗が拡大する条件について検証します。
実験期間中、店員ゼロでの営業も予定
ローソンは8月23日午前0時から、「ローソン氷取沢町店」(横浜市磯子区)で無人店舗の実証実験を開始しました。実験期間はおよそ半年で、午前0時から同5時までの間、売り場を無人化。当面は店舗裏に店員1人を配置しますが、期間中、店員を一切配置しない形での営業も行う予定です。
客は店舗入り口に設置された機器に、あらかじめ「ローソンアプリ」に登録した入店用のQRコード、または、店が事前に利用客に配布した入店カードに表示されたQRコードをかざして入店します。また、QRコードがなくても、機器で顔写真を撮影することで入店できます。
実験時間帯は、たばこ、酒類、ファストフードの販売や、切手類、収納代行やチケット発券など、店員による対応が必要な商品の販売・サービスは行いません。カウンターや酒売り場にはそれぞれカーテン、カバーをかけます。客は店内に設置されたセルフレジ、または「ローソンアプリ」内の「ローソンスマホレジ」で決済します。
実証実験を開始した理由について広報担当者は「元々働き手がいないことに加え、最低時給の高騰などもあり、24時間営業を継続したくても継続できないお店もあるため、そうしたジレンマを乗り越えていくために深夜の省人化実験を行います。『ローソン氷取沢町店』を選定した経緯については、人員体制や店舗設備、商品物流、加盟店収益、ローソン本部拠点からの距離など、いくつかの条件を総合的に判断しました」と説明します。
ただ、酒売り場に設置されたカバーの横から酒を取り出し、レジに通そうとする場面も想定されますが、万引き対策は十分なのでしょうか。
「酒カバーの横から酒を取り出してレジに通そうとしても、お取り扱いできない旨のメッセージが出て購入できないようになっています。また、QRコードによる認証、顔撮影などの入店管理による抑止に加え、防犯カメラの増設(通常タイプのカメラ17台、360度カメラ12台)と警備会社などによるモニタリングで防犯対策を行っています。異常を検知した場合、スピーカーでのけん制や店舗への駆け付け体制を整えています」(担当者)
ローソンの実証実験について、流通アナリストの渡辺広明さんは「来店客が少ない深夜に店舗を無人化するのは理にかなっていると思います。深夜の時間帯は本当にお客さんが来ません。ローソンのこの実証実験には期待しています」としています。
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