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使い勝手や万引き被害は? 大手コンビニも実験中の「無人店舗」、国内で普及するか

海外の無人店舗の実態は?

 海外では、無人店舗の出店は進んでいるのでしょうか。米国では、ネット通販最大手アマゾンが実店舗「Amazon GO(アマゾンゴー)」を2018年1月にオープンさせました。無人コンビニとして紹介され、日本でも話題となりましたが…。

「先日、現地の『Amazon GO』を視察しました。無人コンビニとして紹介されることがあり、勘違いする人も多いのですが、実質的には『レジなしコンビニ』です。店内では、店員が商品の品出しを行っていました。特徴は、決済をせずに商品が購入できることです。専用アプリのQRコードをゲートにかざして入店後、購入したい商品を取り、出口に向かうだけで買い物が完了します。天井に取り付けたAIセンサーが購入商品を読み取り、退店後、アプリに登録されたクレジットカードに課金する仕組みです。

なお、店はオフィス街にありました。店内はそれほど広くなく、新商品はあまり置かれていないので、短時間で効率的に買い物をしたい人に合っているお店だと感じました」(渡辺さん)

 一方、2017年ごろから無人店舗が急拡大している中国では、ある変化が生じているようです。

「実は現在、中国国内で成功している無人コンビニは、ほとんどありません。もともと中国では、『まずはやってみよう』という考えでビジネスが始まることが多いですが、あまりうまくいかなかったのか、ビジネス化されている店がないようです。先日、上海に行った際に、無人コンビニを案内してくれと現地のコンビニ関係者に頼みましたが、『分かりません』と断られました」

 海外でも、まだまだ試行錯誤が続く無人店舗。今後、日本で拡大するためには、事業者側の意識が問われるといいます。

「無人店舗を始める目的についてきちんと考える必要があります。無人店舗ではありませんが、『Amazon GO』のようなお店は、お客さまに快適に買い物をさせようという発想で生まれた店です。一方、日本では、人手不足解消のために無人店舗を始めようとする風潮がありますが、それは結局、会社の都合です。お客さまに喜んでもらえるサービスを提供しない限り、無人店舗を広げていくのは難しいです。

無人店舗を始める上で、まずは、お客さまファーストという視点に立たなければならないと思います。一番大切なのは、ストレスのない買い物環境をつくることです」

 無人店舗の今後について、渡辺さんは次のように指摘しています。

「無人店舗では、時短という意味で電子決済が多く使われると思います。無人店舗が必要とされる場所は、電子決済が使われる機会の多い都市部の駅構内やオフィス街の店舗になるのではないでしょうか。他には、オフィスや工場内に設置された店舗でも需要はあると思います。その点、JR武蔵境駅の『NewDays』は強いです。通勤時間帯を中心に、短時間で買い物を済ませたいというニーズを持つ人が多く集まるからです。

また、地方に行くと、野菜や卵などの無人販売が行われていますが、そうした場所に無人店舗を出店するのも面白いとは思います。冷凍食品のように、ある程度、日持ちする商品だけを販売すれば、商品の補充は週1回程度で済みますし、人件費もかかりません」

「今後、ガソリンスタンドのように、セルフスタンドと有人型の店舗が混在していくのではないでしょうか。ガソリンスタンドは全国に約3万店ありますが、そのうち、セルフスタンドの店舗数は約1万店です(経済産業省、日本エネルギー経済研究所石油情報センター調べ)。全店舗を無人化するのではなく、立地環境などを考え、必要に応じて無人化していくという流れに行き着くと予想します」

(オトナンサー編集部)

【写真】実証実験中の「ローソン氷取沢町店」

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渡辺広明(わたなべ・ひろあき)

流通アナリスト、マーケティングアナリスト、コンビニジャーナリスト

1967年4月24日生まれ。浜松市出身。東洋大学法学部経営法学科卒業後、ローソン入社。22年勤務し、店長、スーパーバイザーを経てコンビニバイヤーを16年経験、約700品の商品開発を行う。同社退社後、pdc、TBCグループを経て、2019年3月、やらまいかマーケティング(https://www.yaramaikahw.com/)を設立。同時期に芸能事務所オスカープロモーションに移籍し、オフラインサロン「流通未来研究所」を開設。テレビ、ラジオなどで幅広く活動する。著書に「コンビニの傘はなぜ大きくなったのか」(グーテンブック)「コンビニが日本から消えたなら」(KKベストセラーズ)

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