トランプへの熱狂「ユーフォリア」はいつまで続くのか
トランプノミクスの詳細は年明け
「トランプ大統領」は2017年1月20日に就任します。就任演説もさることながら、その後は上下両院の合同会議における所信表明演説が注目されます。例年の一般教書演説に該当するものです。そこで、優先的に取り組む課題が明らかになるでしょう。
そして、2月下旬までに予算教書が発表されます。これは、2017年10月に始まる2018年度の予算案であり、インフラ投資などの歳出項目が織り込まれるでしょう。予算教書の発表を受けて、議会で予算審議が始まります。予算審議は夏ごろに山場を迎え、早ければ年度開始前の9月中にも成立します。ただし、成立が年度開始後にずれ込むことも珍しくはありません。
大統領と同じ共和党が議会の多数派となっていることから、通常であれば大統領のアジェンダは比較的スムーズに議会を通過するはずですが、トランプ氏は共和党主流との間に大きな溝を作ったことで、議会がどこまで大統領に協力するかは未知数です。
インフラ投資と並んでトランプ氏が提唱する所得減税は、2018年度予算の枠組みの中で審議されるかもしれません。ただ、成立を早めるために、単独の法案として審議することも可能です。2001年に就任したブッシュ大統領は、減税を含む包括的な景気対策を打ち出し、共和党議会の協力によって同年6月にはこれを成立に持っていきました。
以上から、「トランプノミクス」の詳細が明らかになるのは2017年に入ってから。それが立法化されて発効するのは2017年終盤以降になりそうです。ただ、景況悪化などによって迅速な対応が必要となれば、2017年半ばまでに成立する可能性もなくはありません。
それにしても、「トランプノミクス」の詳細が不明なままで、今後1~2カ月はユーフォリアが続くのでしょうか。気まぐれで変わり身の早い市場がいつまでも同じテーマで動くとは限りませんが――。
(株式会社マネースクウェア・ジャパンチーフエコノミスト 西田明弘)
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