GW明けの「仕事に行きたくない」 は怠けや五月病じゃない? 精神科医が教える不調の“意外な正体”
受診を検討すべき目安とは?
Q.では、「仕事に行きたくない」「学校に行きたくない」と感じる状況を放置し、無理に出勤したり登校したりすると、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。
飯島さん「『仕事に行きたくない』『学校に行きたくない』と感じる状況を放置する最大のリスクは、一過性のエネルギー切れだったものが、本格的な精神疾患へと移行することです。このメカニズムですが、荷下ろしうつの段階でアクセルを踏み続けると、ストレスホルモンの過剰分泌が慢性化します。この状態が長引けば、脳の働きそのものが疲弊し、休んでも立て直せない領域に入っていきます。うつ病や適応障害、不安障害に陥り、医療の介入なしには回復が難しい段階です。
臨床現場で私が一番危惧するのは、『行きたくない』が『行けない』に変わる瞬間です。最初は気分の問題だったものが、朝になると『本当に体が動かなくなる』『頭痛や腹痛が止まらない』『涙が出てくる』という状態に陥ります。ここまで来ると、もはや気合いで乗り切れる段階ではありません。
私が運営するクリニックには、4月の新生活でフル稼働した後、5月の連休明けから不調に入り、休養のタイミングを逃したことで夏まで職場や学校から離れざるを得なくなった人が、毎年いらっしゃいます。
子どもの場合、移行のスピードがさらに速いことに注意が必要です。文部科学省の2024年度調査では、小中学校の不登校児童生徒数は35万3970人で過去最多となり、12年連続の増加となりました。
当院では、不登校が原因で受診する患児の9割以上に何らかの精神疾患を認めます。医療を必要とするほど長引いたケースの背景には、適切な手当てを受ければ改善できたはずの疾患が高確率で潜んでいます。9割という数字は、そうした重症例の現実を映しています。
荷下ろしうつのように見えていたものが、実はうつ病や不安障害だったというケースでは、休養だけでは回復しません。そこで判断の目安です。次のような状態が2週間以上続く場合は、心療内科や精神科の受診を考えてみてください」
【心療内科や精神科への受診を検討すべき症状】
・気分の落ち込みや意欲の低下が続く
・朝起き上がれない日が続く
・食欲が極端に減ったり増えたりするようになった
・腹痛や頭痛など、体の不調が繰り返される
・「消えたい」「いなくなりたい」という考えが浮かぶ
「様子を見ましょう」では改善しないものが、医療の力で立て直せるケースは少なくありません。荷下ろしうつから本格的な疾患への移行は、適切な診断と、必要に応じた薬物療法や心理療法、環境調整があれば食い止められます。早めに専門家を頼ることは、決して大げさな判断ではありません。ぜひ知っておいていただきたいと思います。
(オトナンサー編集部)



















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