中野サンプラザが燃えている、新区長も燃えている
政治家の公約を理解するには
サンプラザが老朽化しているから解体する、という声があります。サンプラザは、昭和48年竣工の鉄骨鉄筋コンクリート造りの建物ですが調べたところ、新耐震基準もクリアし、建築基準法に違反した建造物ではありません。老朽化を論点にするなら、霞が関ビルは昭和43年、世界貿易センタービルは昭和45年、京王プラザホテルも昭和46年、住友ビルも昭和49年の竣工です。それらの老朽化したビルと比較して何が問題なのでしょうか。
サンプラザが老朽化して多くの費用がかかる、という意見があります。それは、選挙前から分かっていたことです。これでは安易な解体は受け入れにくくなります。筆者は中野に40年住んでいます。有権者の一人として申し上げますが、今回の区長選は「サンプラザ解体の是非」が最大の争点だったように感じています。
政治家が言葉を使い分ける。これは大切なスキルです。しかし、有権者にとって裏切られたような印象を残すことは好ましくありません。信頼感が揺らいで政治不信につながる危険性があるからです。言葉の解釈で説得しても有権者は納得しないでしょう。政治家の説明は具体的でなければ説得力がないからです。
このような曖昧な表現で納得してしまう有権者にも問題があると思います。政治家が公約として「見直す」と言ったら、何を具体的に見直すのか確認をしなければなりません。「真摯(しんし)に受け止める」と言ったら、何に対して真摯に受け止めるのか確認をしなければなりません。一般的に選挙公約には具体的数値や行動は記載されません。抽象的な内容が多いですが、それを確認するのは有権者の役割です。
(コラムニスト、著述家 尾藤克之)
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