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グローバル企業担当者必見、中国進出を成功させるコミュニケーション

中国に進出した日本企業が1万3934社に達しました。その背景には中国における反日感情の落ち着きがあるようです。そこで今回は、日本企業が中国でビジネス展開するにあたってのポイントを専門家に取材しました。

日本企業が数多く進出する中国・上海のビル群

 帝国データバンクは先日、中国に進出した日本企業が計1万3934社に達したと発表しました(2016年8月時点)。1年前に比べて678社の増加です。

 同社によると、増加の背景には中国における反日感情の落ち着きがあるそう。日本企業には、積極的に海外販路の開拓を図る中小企業も多く含まれているようです。

 オトナンサー編集部では、近著に「中国人の『財布の中身』」(詩想社新書)があり、中国の社会情勢に詳しいノンフィクション作家の青樹明子さんに、日本企業が中国でビジネスを行うにあたって留意すべき点を聞きました。

「メード・イン・ジャパン」は諸刃の剣

 かつて「世界の工場」であった中国は今や「世界の市場」へと変貌しています。また、富裕層と貧困層の二極化イメージで語られた社会階層もこの10年で大きく変化。現在では、3億人ともいわれる中間層の動向が注目を浴びています。「市場の中心にいるのは中間層。日本で話題の『爆買い』も彼らによるものです」(青樹さん)。

 青樹さんによると、日本企業にとって中国は「最も難しい市場」ですが、それは「政治問題と直結するから」。中国において「メード・イン・ジャパン」ブランドはその質の高さから長らく人気があり、「日系企業は当然、メード・イン・ジャパンを前面に出したいでしょうがそれは『諸刃の剣』です」。

 たとえば2012年に尖閣問題が発生した際、多くの日系企業が日本製品不買運動の標的になりました。「『日本』がシンボリックな形で表れていると、いい時はいいけれど、いったん関係が悪化するともろに影響を受けてしまいます」。

 そうした中にあっても、ブランディングに成功していれば話は別です。たとえば、大手飲料メーカーのサントリーは不買運動の影響を受けませんでした。その理由は「サントリーが『現地化』に成功していたからです」。

 青樹さんは「サントリーは『三つの得と利益』を想起させる『三得利』として中国国内に広く浸透しています」と話します。三得利を台湾企業と誤解している中国人もいるほどで、「メード・イン・ジャパンを大々的に掲げるのではなく、現地にどれだけ受け入れられるか」が中国進出のカギになるそうです。

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青樹明子(あおき・あきこ)

ノンフィクション作家・中国社会情勢専門家

早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了。大学卒業後、テレビ構成作家や舞台脚本家などを経て企画編集事務所を設立し、業務の傍らノンフィクションライターとして世界数十カ国を取材する。テーマは「海外・日本企業ビジネス最前線」など。1995年から2年間、北京師範大学、北京語言文化大学に留学し、1998年から中国国際放送局で北京向け日本語放送のキャスターを務める。2016年6月から公益財団法人日中友好会館理事。著書に「中国人の頭の中」「『小皇帝』世代の中国」「日中ビジネス摩擦」など。近著に「中国人の『財布の中身』」(詩想社新書)がある。