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【徹底解説】父親の還暦祝い、実際は何をすればよいの?

父親の誕生日の中でも「還暦のお祝い」は特別なものです。どのようにお祝いをすればよいのでしょうか。

父親の還暦祝いにふさわしいものは?
父親の還暦祝いにふさわしいものは?

 父親の誕生日を毎年祝っている人はもちろん、そうでない人にとっても、「還暦のお祝い」というのは特別なものではないでしょうか。還暦という、人生に一度の大きな節目を迎えるお父さんに、記念に残るお祝いを贈りたいもの。

 還暦のお祝いをより思い出深いものにするためのポイントについて、徳島県の行政機関・大学を中心に、ビジネスマナーや日常生活のマナー、冠婚葬祭のマナーについて研修や講義を行い、今年5月に「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」(青春出版社)を初出版した、ヒロコマナーグループの川道映里さんに聞きました。

そもそも還暦とは

 日本には、満年齢である60歳の誕生日を「還暦」としてお祝いする風習がありますが、もともとの還暦祝いは、数え年61歳のことを指します。

 還暦は「60年で干支(えと)が一回りし、再び生まれた干支・元の暦に還る」ことから呼ばれています。干支は、なじみのある十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)をイメージすると思いますが、それに加えて十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)が組み合わさって形成されています。この組み合わせが60種類、つまり干支が一回りするのが60年ということです。

 昔、赤ちゃんの産着には、魔よけの効果があるとされる赤色が使われていました。還暦は「生まれた時の干支になる=赤ちゃんに戻る」ということから、赤い色のちゃんちゃんこを着て祝うようになったそうです。その他、赤い頭巾、赤い座布団など赤いものにちなんだ品物を贈る風習があります。

 昔、数え年61歳は長寿として扱われていましたが、現在は寿命が延び、満年齢60歳はまだまだ現役です。赤いちゃんちゃんこは「年寄り扱いされているようで嫌だ」「恥ずかしい」と感じる方も多いようなので、お父様の好みやキャラクターを考え、地味ではなく若々しいものを準備しましょう。

 長寿のお祝いは還暦から始まります。「いつまでも健康で長生きをしてほしい」という気持ちを込めてお祝いしたいものです。できれば、子どもや孫、兄弟姉妹たちが主体となり、還暦のお祝いの準備を進めましょう。その他、関わりの深い親戚なども呼んで食事会や旅行などで盛大にお祝いするとよいでしょう。

 ただし、遠く離れて暮らしている場合や、それぞれの事情でお祝いの席に参加できない場合は、お祝い金を現金書留で郵送するのもよいでしょう。お金を贈る一般的な相場は、親や祖父母の場合は2万~3万円、親戚や知人に贈る場合は1万円前後が妥当です。

 ただし、あくまでも参考の相場であるため、ご家族で相談して決めることをお勧めします。それぞれの事情に合わせて、自分たちができる範囲で心を込めて贈るのが一番です。兄弟姉妹がいる場合は、お金を出し合って、一人では買えない品物などを贈るのもよいでしょう。

還暦祝いの贈り物

 お祝いの贈り物は、当日、お祝いの会に参加できるのならば、その場で直接手渡しをするのが理想的です。それが難しい場合は、当日届くように手配するか、お祝いの会の1週間前に届けられるようにしましょう。還暦の年は1年間おめでたいとされ、いつ贈り物をしてもよいとされていますが、誕生日当日やお祝いの日近くなど、地域の風習に合わせて行いたいものです。また、郵送する際は、自筆の手紙を一緒に添えると喜ばれるでしょう。

 では、具体的にどのような品物を贈ればお父様に喜んでもらえるのでしょうか。まず、お父様の好みや趣味を思い浮かべ、欲しいものや喜ばれるものをじっくり考えてみましょう。

【お酒好きなお父様に…高級酒と名入りグラス】

 お酒が好きだというお父様には、普段自分では買わないようなお酒をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。年代物のワインや、高価な日本酒や焼酎などもお勧めです。

 その際、お酒だけではなくお父様の名前と日付入りのグラスをセットにすると、より特別なプレゼントになり、ずっと使えるアイテムとして記念に残ります。また、自分たちで名前や柄を彫ることができる工房もあるため、手作りの温かみも伝えられるプレゼントになるでしょう。

【ゴルフが趣味のお父様に…ゴルファーズブーケ】

 ゴルファーズブーケとは、花束の中にゴルフボールを交ぜて贈るギフトのこと。お祝いの場で華やかな花束が贈られたと思ったら、その中に趣味のゴルフボールが入っていた…!というサプライズを演出できます。

 ゴルフボールに記念日や名前、似顔絵まで入れられるものもあります。さまざまなサービスがあるので、花束の種類や花言葉、似顔絵のテイスト、予算などを考慮して検討してみるとよいでしょう。

【お出かけ用のグッズや体験チケット】

 まだまだ元気な60代だからこそ楽しめるのが、スポーツや趣味などのアクティビティーです。お父様がやりたいことを自由に選んでもらえ、グッズも体験も充実しているカタログギフトを贈るのもお勧めです。

【こだわりのお店で食事会】

 テレビや雑誌などで話題になったレストランや、普段なかなか行くことができないお店を予約しておくのもよいでしょう。その際、お父様が和食好きであれば和食の料亭を選んだり、小さな子どもが一緒に参加する場合は個室を予約したりするなど、配慮が必要です。

 可能であれば、お店にサプライズの演出を相談してみてもよいでしょう。似顔絵ケーキやプレートにメッセージを書いてもらうなど、お父様の喜ぶ顔を想像しながら考えるのも主催者側の楽しみの一つになるはずです。お店の人に記念写真を撮ってもらえるようお願いをして後日、写真をプレゼントするのも素敵です。

【思い出をプレゼントできる家族旅行】

 品物も良いですが、家族全員で一緒に過ごし、盛大にお祝いをすることが何よりのプレゼントです。それぞれの都合にもよりますが、旅行をプレゼントとして贈るのも喜ばれます。「お母さんと2人で行ってきて」と、夫婦2人の旅行をプレゼントしてもよいですが、還暦のお祝いはできるだけ大勢でお祝いしたいもの。家族や親戚と予定を合わせ、大人数で旅行するのも一生の記念となるでしょう。

「還暦プラン」を用意している旅館やホテルも多くあり、記念写真を撮ってくれるサービスなどがあるようです。もし、ご夫婦二人でのんびりとした旅行を希望されるならば、ペアの旅行のカタログギフトをプレゼントし、好きな旅行先を選んでもらうのもよいでしょう。

【人生を振り返るメモリアルグッズ】

 還暦や人生の節目に贈るプレゼントとして、メモリアルグッズも人気です。贈る相手の名前を使ったポエムや似顔絵を、飾り物などの実用品として残すというもので、新聞社などが行っている、思い出の日の新聞をプリントするサービス「お誕生日新聞」もお勧めです。60歳という節目に、お父様が歩んできた人生を一緒に振り返ることができます。

 その他、家族やなかなか会うことのできない親戚、知人、友人の方に協力してもらい、ビデオメッセージや動画を贈るのも、世界でたった一つの素敵な贈り物となるでしょう。

手紙やオリジナルラッピングもお勧め

 お金を払って用意するプレゼントもよいですが、プライスレスな品物でもお祝いの気持ちを伝えると、お父様の心により響くはずです。

【手紙】

 日頃、なかなか伝えられない感謝の気持ちをしたためた手紙を、プレゼントに添えて伝えてみましょう。手紙の内容は、60歳という節目に対する「これまでお疲れさま」よりも、「これからもますます元気で」など、前向きで敬意を表す内容がよいでしょう。

【自分でラッピング】

 プレゼントを用意したら、自分でオリジナルのラッピングをするのも一種のプレゼントといえます。還暦らしく赤い袋を用意して、お父様をイメージした花などを添えてラッピングすれば、よりお祝いの気持ちを込めることができますね。

 赤いものを贈りたいのであれば、赤いカーディガンやストール、財布など、身につけるもの以外に赤いバラの花もお勧め。年齢の本数のバラをプレゼントすれば、華やかさとボリューム感から、これまで歩んできた人生の重みを感じてもらえることでしょう。

 還暦祝いの熨斗(のし)は、表書きを「御還暦御祝」「祝還暦」とします。その他、年齢にかかわらず「長寿御祝い」「寿福」も使えます。水引は「何度でも繰り返したいお祝い」とされる、紅白か金銀の蝶結びを使うようにしましょう。

祝う気持ちと時間が一番のプレゼント

「還暦祝いは特別なお祝いのような気がして、いつもの誕生日より何を贈ろうか悩んでしまうかもしれません。しかし、あまり難しく考えず、お父様に対する『これからも健康で元気でいてほしい』『これからのますますの活躍を願っている』という素直な気持ちを込めればよいのです。

贈り物に決まり事やしきたりはありません。お父様が喜んでくれるものを直接聞いて選んでも構いません。お父様にとっては、その気持ちとお祝いの時間が一番のプレゼントになるはずです」(川道さん)

(オトナンサー編集部)

川道映里(かわみち・えり)

マナーコンサルタント・マナー講師

一般社団法人マナー教育推進協会理事。ファストマナースクール西日本エリア長。銀行に就職後、結婚を機に退職。子育て中にマナーの大切さを知り、マナーコンサルタントの西出ひろ子に師事。企業や学校などで人財育成、マナー研修、マナーコンサルティングなどを行う。真心マナーを伝え、結果を出せるマナー講師の養成も行う。また日本最大級のカルチャーセンターでは、冠婚葬祭マナーやキッズマナーなどの日常生活のマナー講座も担当。食事をしながらテーブルマナーを習得する講座も人気。徳島を拠点に全国で活躍中。ファストマナースクール(http://www.fastmanner.com)、ウイズ株式会社(http://www.withltd.com)。

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