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牛乳、豆乳、アーモンドミルク…「毎日飲む」なら? 管理栄養士のおすすめを聞いてみた結果

健康のために飲んでいるという人も多い牛乳、豆乳、アーモンドミルク。それぞれの健康効果を管理栄養士に聞いてみると……。

健康効果が期待できても…やはり飲み過ぎは危険?
健康効果が期待できても…やはり飲み過ぎは危険?

 6月1日は「牛乳の日」。2001年に国連食糧農業機関(FAO)が「世界牛乳の日(World Milk Day)」とすることを提唱し、日本でもこれに合わせる形で、2007年に日本酪農乳業協会(現・一般社団法人Jミルク)が定めました。

 牛乳といえば、「体によさそうだから」「美容にいいと聞いたから」など、昔からさまざまな理由で飲んでいる人が多い飲み物。一方、最近では豆乳、そしてアーモンドミルクという選択肢も一般的になりました。風味や口当たりなどで好みは分かれると思いますが、健康のことを考えるとき、「どれを飲もうかな」と迷ったことがある人もいると思います。

 ネット上では「カロリーはやっぱり気になるな…」「飲み過ぎの弊害はないの?」といった疑問の声も聞かれますが、管理栄養士の岸百合恵さんは「3つそれぞれ、飲み過ぎに気を付けるべき理由がある」と指摘します。栄養の観点から、牛乳、豆乳、アーモンドミルク、それぞれの特徴や飲み過ぎのリスクについて教えていただきました。

牛乳は「準完全栄養食品」

 毎日の習慣として飲んでいる人も多いと思われる「牛乳」「豆乳」「アーモンドミルク」。これら3つはコップに注いだ際の見た目こそ似ているものの、原材料や製法、飲みやすさなどは大きく異なります。

【牛乳】

日本では、成分を調整していない100%の生乳を原料とし、加熱殺菌したものが牛乳とされています。生乳から乳脂肪分を一部取り除いて「0.5%以上1.5%以下」にしたものが「低脂肪牛乳」、生乳からほとんど全ての乳脂肪分を取り除いて「0.5%未満」にしたものが「無脂肪牛乳」です。一般的には、乳脂肪分が多いと濃厚でまろやかに感じます。

【豆乳】

大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮詰めた汁から、「おから」を除いた乳状の液体です。クリーム色のように少しだけ黄みがかっています。

味は、原料が大豆のみの「無調整豆乳」であれば、豆腐とほぼ同じで、大豆の風味をダイレクトに感じられますが、飲みづらいと感じる人もいます。一方、「調整豆乳」は飲みやすくするために植物油や砂糖、塩などを加えて味を調えており、大豆の風味やクセが弱くなっています。飲み口も無調整豆乳よりまろやかです。

【アーモンドミルク】

アーモンドを原料に作る植物性の飲料です。水に浸したアーモンドを砕き、ろ過して作られます。アーモンドの細胞壁を砕いて液状にしているため、アーモンドをそのまま食べるよりも栄養素が吸収されやすいメリットがあります。白色をしていますが、牛乳や豆乳よりもサラッとした飲み心地で、自然な甘さと香ばしさが特徴です。

 そしてこれら3つの飲み物にはそれぞれ、含まれる栄養素に特徴があります。

 まず、牛乳は各種栄養素がバランスよく含まれている「準完全栄養食品」です。3大栄養素のタンパク質、脂質、炭水化物に加え、日本人の食生活に不足しがちなカルシウムなどのミネラルやビタミンA、B2などを豊富に含んでいます。中でもカルシウム(以下100ミリリットルあたり)は110ミリグラムと、3つの中で牛乳に最も多く含まれています。

 次に、豆乳にはタンパク質やオリゴ糖、カリウム、マグネシウムなど多くの栄養素が含まれていますが、大きな特徴は「大豆イソフラボン」です。大豆イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)と分子構造が似ているため、“植物性エストロゲン”とも呼ばれ、生理周期の乱れを整える働きや骨粗しょう症予防、美肌効果が期待されます。カルシウム含有量は無調整豆乳の場合、15ミリグラムです。

 最後に、アーモンドミルクには抗酸化物質のビタミンEが豊富に含まれています。ビタミンEは活性酸素を除去してくれるので、病気の予防だけでなく、アンチエイジング効果も期待できます。また、コレステロールが含まれないことも特徴です。カルシウムは商品によって0〜100ミリグラム含まれます。

 なお、カロリー(100ミリリットルあたり)は牛乳67キロカロリー、豆乳46キロカロリーに対し、アーモンドミルク24キロカロリーと最も低カロリーです。アーモンドミルクが好まれる理由の一つといえます。

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岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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