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洗顔時は「水」or「湯」 どっちを使えばいいの? 汚れ&余分な皮脂をうまく落とすコツ 医師が解説

顔を洗うときは水とお湯、どちらを使うのが望ましいのでしょうか。形成外科専門医に聞きました。

洗顔時は水とお湯、どちらを使うのが望ましい?
洗顔時は水とお湯、どちらを使うのが望ましい?

 朝、水で顔を洗う人もいれば、お湯で顔を洗う人もいます。洗顔時は水とお湯、どちらを使うのが望ましいのでしょうか。また、洗顔料を使わずに水やお湯だけで顔を洗っても問題はないのでしょうか。洗顔時の注意点やコツについて、豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック(東京都江東区)副院長で形成外科専門医の澤口悠さんに聞きました。

お湯で顔を洗うと「赤ら顔」の原因に

Q.そもそも、洗顔時は水とお湯どちらを使うのが望ましいのでしょうか。適切な温度も含めて、教えてください。

澤口さん「基本的には、ぬるま湯で顔を洗うのが適切とされています。一般的な目安は32度前後ですが、肌質によって適正温度が少し異なります。肌タイプ別に次の水温が推奨されています」

■乾燥肌・敏感肌
30~34度程度の低めのぬるま湯がベストです。この程度の水温なら肌の汚れを落としつつも必要な皮脂を残し、洗顔による乾燥を防ぐことができます。

■普通肌
35度前後のぬるま湯が適しています。体温よりわずかに低い温度のお湯で洗うことで、余分な皮脂や汚れを適度に落とせます。

■脂性肌(オイリー肌)
36~38度の体温と同程度、あるいは体温より少し高めのぬるま湯で洗うのが推奨されています。

皮脂分泌が多い肌は毛穴が開きやすく汚れもたまりやすいため、適度に温かいお湯で皮脂をしっかり落とすことがポイントです。

Q.では、冷たい水や熱いお湯で顔を洗うと、皮膚にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。

澤口さん「極端に冷たい水、あるいは熱いお湯で顔を洗うと、肌にさまざまな悪影響を及ぼします」

■冷た過ぎる水での洗顔
冷水で洗顔すると一時的に肌が引き締まり、すっきり感じることがありますが、水温が低いと皮脂が固まり、毛穴が引き締まってしまうため、汚れや皮脂が落ちにくくなります。

また冷水は油分を十分に溶かせないため、クレンジング効果が弱くなります。その結果、落とし切れなかった皮脂やメーク汚れ、細菌が毛穴にとどまり、ニキビや肌荒れの原因となりかねません。冷水ではなく、ぬるま湯で洗顔料を使って汚れを落とす方法が推奨されます。

■熱過ぎるお湯での洗顔
熱過ぎるお湯を使うのは厳禁です。目安として39度以上のお湯で顔を洗うと、必要な皮脂まで過剰に洗い流してしまい、肌の水分、油分のバランスが崩れて極度に乾燥します。その結果、肌のバリアー機能が損なわれてしまい、カサつきやかゆみ、刺激に対する過敏症状が出やすくなります。

皮膚科学の最新の研究でも、熱いお湯による洗浄は冷水での洗浄よりも皮膚バリアーを強く乱すことが報告されています。乾燥が進むと、肌は不足した油分を補おうと皮脂を過剰分泌する傾向にあり、かえってテカリや毛穴の開きが目立つ原因となります。

さらに熱いお湯は顔の毛細血管を拡張させるため、洗顔直後に赤ら顔になり、特に赤みが出やすい肌質の場合、症状を悪化させてしまう恐れがあります。慢性的に熱いシャワーを顔にかける習慣があると、毛細血管がダメージを受けて赤ら顔が定着する恐れもあります。極端に熱いお湯と冷水を交互に当てるような行為も、小さな毛細血管を破裂させるリスクがあるため、避けた方がよいでしょう。

以上の理由から、乾燥肌でも脂性肌でも基本的にぬるま湯による洗顔が望ましいとされています。

Q.洗顔料を使わずに水やお湯だけで顔を洗ってもよいのでしょうか。

澤口さん「洗顔料やせっけんなどを使わず、水やぬるま湯だけで顔を洗う『水洗顔』には、メリットとデメリットの両面があります」

■メリット
乾燥肌や敏感肌の人には水洗顔が適しているとされ、洗顔料による刺激や油分の取り過ぎを防ぐことで、肌の潤いを保ちやすくなります。洗顔料が合わずにヒリヒリしてしまうような超敏感肌の人にとって、水だけの洗顔は刺激を最小限に抑える方法です。実際に、刺激を受けやすい敏感肌や乾燥肌の場合、下手に洗顔料を使って必要な皮脂まで除去してしまうよりもぬるま湯で軽く汚れを落とす程度の方が、肌状態が安定するケースがあります。

例えば、一時的にニキビ治療中で肌が敏感になっているときや、アトピー性皮膚炎や湿疹が悪化しているときなど、強い洗浄剤が刺激になる状況では、しばらく水やぬるま湯だけで優しく洗顔するよう、医師から指示されることがあります。

■デメリット
水やお湯だけの洗顔では汗やホコリ程度しか落とせず、皮脂汚れを十分に除去するのは難しいのが現実です。毛穴に皮脂が残留して肌荒れやニキビの原因になりかねません。実際に、脂性肌やニキビ肌の人は水洗顔が不向きとされ、特に思春期のニキビ肌の場合や皮脂が多い男性の場合、水洗顔ではなく低刺激の洗顔料で余分な油分を落とすケアが必要です。

また、洗顔で皮脂や汚れが残っていると、肌表面に膜を張った皮脂汚れがバリアーとなり、有効成分が角質層に届きにくくなります。

以上のように、水洗顔の適性は肌質によって異なります。敏感肌、乾燥肌の人はメリットがデメリットを上回る場合もありますが、脂性肌やニキビ肌の人はメリットよりもデメリットの方が大きいといえます。

【要チェック】これが肌のタイプに合った最適な「洗顔方法」です

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澤口悠(さわぐち・はるか)

医師、形成外科専門医、豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック副院長

形成外科医として大学病院や総合病院で研さんを積む。その後、美容外科医、美容皮膚科医としても活躍しており、皮膚疾患の保険診療から美容施術まで幅広く診療を行っている。脂肪吸引のスペシャリストとして、美容整形版令和の虎にも出演。化粧品検定1級を取得。豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック(https://sawagucci.com/)。

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