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内定学生の「ビジネスマナー研修」に変革の兆し? 内面なき“型”は社員のためにならない

なぜ、ビジネスマナーを身につけるか

 そこで、心得ておかねばならないのが「なぜ、ビジネスマナーを身につけるのか」。

 本やeラーニングだけでは難しい面もありますが、もし、入社前にビジネスマナー研修を行う場合、この目的をしっかり伝えなければ成果は出ません。現に、多くの企業人事部の方から、「ビジネスマナー研修を行ったのに身についていない」という相談をよく受けます。

 ビジネスマナーの目的は、お客様や取引先などに失礼のない対応をすることは元より、自社の収益を上げ、社会に貢献することです。お客様の望むサービスや商品、製品を提供するのは当然として、スタッフの印象が良ければリピートにつながる可能性がありますが、どんなに美しいお辞儀や名刺交換をしても、それが即収益につながるかというと、そうではありません。

 本来、ビジネスマナーで大切なことは、美しい所作や堅苦しい言葉遣いといった「型」以前に、「相手の立場に立つ」という配慮のある人間力を養うことにあります。この本質を理解しないまま「型」だけを習得しても、現場で実践できず、長い目で見ればその人や自社のプラスにはならないでしょう。これを内定後から理解し、身につけておけば、入社後はスムーズに仕事を進めていけます。もちろん、入社直後に行っても効果的です。

 入社1年目で大切なことは、学生から社会人・仕事人への意識と行動の切り替えです。ビジネスマナー研修では、お辞儀や名刺交換の仕方以前に相手を敬う気持ちを持つこと。これができた後、それを言葉と行動で表現できるように実践や体験型の研修を行うことで、新入社員の皆さんが現場で評価され、上司や先輩も仕事がしやすくなります。

 誰に対しても、通り一遍の同じ「型」だけを単純に伝えるだけでは、「できる人財」にはなれません。さまざまな相手に応じて、その相手が欲している物事などを瞬時に察し、言われる前に、先手でそれを提供することができる気遣いや気配りのある人材の育成が、ビジネスマナーの醍醐味。相手が心地良いと感じられる言動を、臨機応変に使い分けられるかどうか、そのために、敬語や言葉の言い回しなどの「型」を習得するのです。

 さらに、お客様をはじめ、上司や先輩からの指示や忠告などに感じ良く、素直な対応をすることで円滑な人間関係を築ける人材や、協調性を持ち、トラブルを起こさない人材になることもビジネスマナーの一環として学ぶ事柄です。そのためには当然、それを伝える講師の力量が重要になります。

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西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント・美道家・ヒロコマナーグループ代表

大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経てマナー講師として独立。31歳でマナーの本場英国へ単身渡英。同国でビジネスパートナーと起業し、お互いをプラスに導くヒロコ流マナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナー研修やおもてなし、営業接客マナー研修、マナーコンサルティングなどを行い、ほかに類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績は、テレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「花燃ゆ」「龍馬伝」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」など、ドラマや映画、書籍でマナー指導・監修者としても活躍中。著書に、28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)「マンガでわかる! 社会人1年生のビジネスマナー」(ダイヤモンド社)「マナーコンサルタントがこっそり教える 実は恥ずかしい思い込みマナー」(PHP研究所)「運のいい人のマナー」(清流出版)など国内外で70冊以上。最新刊「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」(青春出版社)が2018年5月19日に発売。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)、プレミアムマナーサロン(http://www.erh27.com)。

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