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採血前なのにうっかり「食事」してしまった…! 検査結果はどうなるの?【医師解説】

採血の前は「食事を取らないように」と指示がありますが、もし「うっかり食べてしまった」場合、どうなるのでしょうか。内科医に聞いてみました。

採血前なのに食べてしまった…どうなる?
採血前なのに食べてしまった…どうなる?

 健康診断や人間ドックで実施される「血液検査」。受ける前日には「食事を取らないように」と指示されることが多いですが、ネット上では「うっかりごはんを食べてしまった…」「検査のことを忘れてて食事しちゃった」といった経験談が少なからず聞かれるほか、「検査前に食事してしまったらどうなるの?」「やっぱり検査に影響ある?」など、疑問を持つ人もいます。

 もし、採血の前に食事をしてしまったら、どうなることが考えられるのでしょうか。eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに教えていただきました。

正常値の基準は「空腹時」

Q.まず、「血液検査」について教えてください。

市原さん「血液検査は採血を行い、肝臓や腎臓といった臓器の異常を調べたり、血糖値やコレステロール、中性脂肪、尿酸などの数値を調べたりと、さまざまなことが分かる検査です。健康診断で特に異常を指摘されず健康な人は、年に1回の健康診断での血液検査で十分です。

何か症状があるなど不調のときには、病院で血液検査を行い、不調の原因を調べます。例えば、糖尿病などで定期的に病院に受診している人は、1~2カ月に1回は血液検査をすることが多いです。かかっている病気によって血液検査の頻度は変わります」

Q.採血の前に「食事を取らないように」との指示があるのはなぜですか。

市原さん「血液検査の正常値は『空腹時』を基準にしています。血糖値や中性脂肪は食事の影響を受けて数値が上昇するため、空腹時での検査が理想的だからです」

Q.もし、指示を守らず、採血前に食事をしてしまったら、どうなることが考えられますか。

市原さん「食事をして採血をすると、血糖値と中性脂肪が高く出ることがあるため、数値が基準を超えていれば『再検査』などの判定になります。健康診断や人間ドックは会社や個人であらかじめ予定していることがほとんどなので、当日中止することは少ないです。

健診結果を持参して病院を受診すると、判定は悪い結果であっても、食後の数値だと加味して判断します。不安なときは医師に相談してください」

Q.ちなみに、「採血前にやってはいけない」ことは食事以外にもありますか。

市原さん「健康診断や人間ドックの場合、水分摂取に関して『◯時間前までに済ませるように』といった指示があります。逆に、水分を全く取らないと脱水となり、血管が細くなるので、血液検査自体の手技が難しくなったり、腎機能や尿酸値が高く表示されたりすることがあるので、水分摂取は指示された通りに行いましょう」

(オトナンサー編集部)

【画像】採血後に「青あざ」できたことある?→これが「実際の写真」です(閲覧注意)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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