奈良の銀行が「犬神家の一族」風CMを制作 “お堅い”イメージを刷新? 担当者に聞く
遺産をめぐる骨肉の争いを描いたサスペンス「犬神家の一族」を模したシリーズCMを、奈良市の銀行が制作しました。

遺産をめぐる骨肉の争いを描いた「犬神家の一族」を模したシリーズCMを南都銀行(奈良市)が制作し、8月27日からホームページなどで公開しています。遺産相続での「もめ事あるある」をサスペンスドラマ仕立てにした「南都家の一族」で、思わぬ展開やオーバーアクションに思わず笑ってしまう場面も。“お堅い”イメージのある銀行が、なぜ銀行らしからぬ思い切ったCMを制作したのでしょうか。
「イメージ」を壊して若者にアピール
CMは、南都家の家長だった父親が多くの遺産を残して亡くなった場面から始まります。「ない」と思っていた遺言書が、後から2通も出てきたり、遺産の配分が不平等でもめたり、前妻の子どもが突然現れたり…という全10話で、故人の妻や長男、長女など遺産相続の権利者が、人間の欲望を丸出しにした争いを繰り広げます。金田一耕助シリーズの名作「犬神家の一族」をほうふつとさせる場面が随所に出てきます。
南都銀行の広報担当者に聞きました。
Q.CM制作の狙いは。
担当者「南都銀行は2017年4月17日から遺産相続に関する信託・相続業務の取り扱いを始めました。今回のCMは、取り扱い開始をより多くの人に知ってもらうとともに、銀行の“お堅い”イメージを壊すことで、若い世代に遺産相続問題に少しでも関心を持ってもらおうと制作しました。
遺産相続は決して富裕層に限った問題ではありません。遺産分割に関する争い事の多くが遺産価額5000万円以下の家庭で起こっています。最高裁判所の『司法統計年報』によると、家庭裁判所が扱う件数も右肩上がりです」
Q.あえて銀行のイメージを壊す狙いがあったのですね。
担当者「南都銀行は今年4月から『壊せ、南都!』というキャッチコピーを掲げています。今まで当たり前だと思っていた『常識』や『固定観念』を見直すことで、新たな南都銀行を生み出し、より皆さまに選んでいただける銀行を目指しています。今回のCMもその一環です」
Q.女優の川上麻衣子さんが、故人の長女役で出演しています。川上さんは金田一耕助シリーズの「病院坂の首縊(くく)りの家」に出演していますが、その縁でキャスティングしたのでしょうか。
担当者「残念ながら、偶然です。昼ドラなどで迫真の演技をしている川上さんならば、遺産相続をめぐる人間関係をうまく表現してもらえると思ってオファーしました。結果として、我々が期待していた以上の演技を見せてくださり、大変満足しています」
Q.CMはどこで見ることができますか。
担当者「南都銀行のホームページのほか、地元の奈良テレビではCM放映が始まっています。9月中旬からは、関西地方の準キー局でも放映が始まります」
ホームページでは、全てのストーリーについて遺産相続の「あるある度指数」を表示しています。また、遺産相続問題についての対処法を「Q&A」方式で分かりやすく解説しています。ドラマを楽しみつつ、ドラマのような「骨肉の争い」を避けるための知識が身に付きそうです。
(報道チーム)
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