「運命の出会いなんかじゃなかった」 “直感”に導かれて結婚した女性たち、数年後に訪れた「後悔」
恋愛や結婚において、自分の「直感」を信じて決める人は少なからず存在します。夫婦仲の専門家が知る実例から探る、直感が結んだ結婚の“その後”とは――。

あなたは普段、自分の「直感」を信じていますか? 生活のあらゆるシーンにおいて「直感」をもとに判断した経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。こと恋愛においても、初対面時に「この人だ」「運命の相手だ」と直感して、そのまま結婚へと至る人は少なからず存在するものです。
“直感で結ばれた夫婦”は果たして、永遠に幸せでいられるのか――。「恋人・夫婦仲相談所」所長の三松真由美さんは、そうした結婚で幸せが続くと思い込むのは「ファンタジー」と断言します。2人の女性の実例から、直感を信じた結婚の現実をひもといていきましょう。
お見合いで出会った男性に「この人!」
平成の時代、「ビビビ婚」という言葉がありました。歌手の松田聖子さんが結婚を決めた理由を「ビビビと来た」と表現したのです。「運命の相手だと直感した」ということでしょう。
初対面時の直感から結婚に至る夫婦は少なからずいます。恋愛や結婚の相手を探す際は本来、五感を研ぎ澄ますことが大事です。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚…どれも恋愛要素に欠くことはできません。ところが、見た目は好きなタイプではない、触れた感じもイマイチ…でも、「この人と一緒にいたい」と五感以外がささやく――。それを「運命の出会い」と感じる人もいます。
五感以外の“第六感”に従って結婚する、いわば「シックスセンス婚」。初対面時に「この人と結婚するかも…」と直感したシックスセンス婚カップルは果たして、永遠に幸せなのでしょうか。実例を紹介します。
信子さん(仮名、60代)は小学生の頃から、「22歳で9歳年上の男性と結婚する」と信じていたそうです。子ども向け雑誌の占いに書いてあったのか、大好きな漫画の主人公がそうだったのか、子ども時代のインプットが彼女の恋愛観を形成しました。
20代前半の時期、信子さんは職場の同僚だった男性にプロポーズされました。当時は「交際の申し込み=結婚を前提としたプロポーズ」だったようです。その同僚はとても優しくて真面目な男性でしたが、年齢は信子さんの3つ上。9歳上ではありません。そのため、信子さんはお断りしたそうです。徹底して運命を信じる性格でした。
その後、信子さんにお見合い話が持ち上がります。その男性はまさかの9歳年上。ワクワクしながらお見合い場所に直行し、会った瞬間、まさに「この人!」とシックスセンスが訴えてきました。そして、2人は結婚します。
彼はいわゆる「THE 昭和男」でした。家事や育児は一切やらず、仕事ばかり。部下を引き連れ、酔っぱらって帰ってきて、部下をもてなすことは日常茶飯事。さらに、モラハラ的な言葉も浴びせます。
しかし、信子さんは「自分が結婚すべき相手と結婚した」と信じ切っていました。3人の子どもたちにも「ママは大好きな相手と結婚したから幸せ。結婚するなら、自分が大好きだと思う人と結婚しないと不幸だよ」と言っていました。
しかし、子どもたちが思春期を迎えた頃のこと。夫の帰りが遅いある晩、一本の電話がかかってきました。娘が出ると、電話の相手は女性。「お母さんいる?」と言われ、信子さんが代わると「あなたの旦那、今どこにいると思う? うちにいるのよ」。電話を切った後、娘たちは「パパはかっこいいし、浮気してもしょうがないよね」と言います。
信子さんは「パパは真面目な人だから、絶対にそんなことしないよ」と言い切りましたが、夫から連絡はなく、眠れない夜を過ごします。翌朝帰ってきた夫を、信子さんはとがめませんでした。
その後、電話はなく、平穏な歳月が過ぎ、子どもたちは成人して独立。信子さんは、義両親の介護のために、夫の実家で暮らすことになりました。
ワンオペ介護の中、また一本の電話が信子さんの携帯にかかってきました。相手は女性で「あんたが健さん(仮名)と離婚しないから、健さんは不幸なのよ。さっさと離婚しなさいよ」と怒鳴る声。動揺した信子さんはすぐ、夫の携帯に電話します。
夫は浮気相手だと認めました。ただ、「さっき別れ話をした」と言います。それに逆上した女性が信子さんに電話してきたのです。
信じてきた夫の裏切り行為によって、過去のいろいろなことも全て信じられなくなった信子さん。夫は謝りましたが、自分の人生全てが否定された気になってしまいました。信子さんは、「裏切り夫の親の介護をするなんて、お人よし過ぎる」と情けなくなり、離婚の道を選びました。
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