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暑い日についやりたくなる…運動時、体に水かける メリット&デメリットを医師に聞く

氷のうを当てるとどうなる?

Q.屋外での運動時に氷のうを頭や体に当てた場合、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。

松本さん「次のようなメリット、デメリットがあります」

【メリット】
氷のうを頭や体に当てることで、瞬時に体の表面温度を下げることができます。これにより、体の過度な発熱を一時的に防ぐことが期待され、熱中症の予防に役立つ可能性があります。

氷のうによる冷却は筋肉の緊張を緩和し、筋肉のリラクゼーションをサポートすることが知られています。そのため、運動後の筋肉の疲労や痛みの軽減にも一定の効果が期待されます。運動による微小な筋肉の損傷や炎症が生じた場合、氷のうを当てることで一時的に血流が減少し、炎症の軽減が期待されます。

【デメリット】
氷のうを長時間、特定の場所に当て続けると、冷傷(氷傷)のリスクがあるため、基本的にタオルなどを巻いた上で皮膚に当てる必要があります。氷のうの冷却効果は一時的であり、氷のうを取り除くと再び体温が上昇する可能性があります。

冷却により、一時的に血管が収縮して皮下の血流が減少します。短時間であれば問題ありませんが、長時間氷のうを当て続けると、筋肉や皮膚への酸素供給や栄養供給が低下し、運動により筋肉が負ったダメージの回復が遅れるリスクが考えられます。

氷のうを当てることにより皮膚の感覚が鈍くなることがあり、これにより氷のうの使用時間や冷たさの度合いを適切に判断しにくくなる場合があるほか、万一、何かにぶつかるなどの外傷を負った際に病状を判断しにくくなる可能性があり得ます。

注意点ですが、氷のうや冷たい物を体に当てると循環器系に一定の影響を及ぼすことがあります。特に循環器系の持病がある人や高齢者など、健康リスクの高い人は注意が必要です。

一部の研究においては、低温刺激が一時的な血圧上昇を引き起こす可能性が示唆されているほか、心拍数が一時的に変動する可能性もあります。これらは、体の冷却反応としての自律神経の作用によるものです。氷のうは適切に使うとともに、長時間使用しないように心掛けることが重要です。

Q.屋外や体育館での運動時に体を効率的に冷やし、熱中症を防ぐ方法について教えてください。

松本さん「熱中症予防の基本は、汗とともに失われる水分やミネラルを定期的に補給することであり、これは体の冷却システムを効率的に作動させる上で基本となります。例えば、冷たい水を飲むことで、体温を下げることができます。

冷水で湿らせたタオルやスポンジを首や腕、太ももの内側といった太い動脈が通っている部位に当てると、効果的に体温を下げることができます。

体育館の中など、運動する場所に扇風機が設置されている場合、その風を利用して汗の蒸発を助けることで冷却効果を得られます。日中など無風の時間帯に運動するのではなく、朝夕など比較的風が吹きやすい時間帯に運動するのも良いでしょう。

運動時に通気性の良い服を選ぶことで、汗の蒸発を助け、体温の上昇を抑えることができます。また、運動の種類にもよりますが、直射日光から頭部を保護するために帽子をかぶるのも効果的で、帽子の中に氷や湿らせたタオルを入れることで、冷却効果をさらに強化することが可能です。

これらの方法を組み合わせることで、より効果的に体温をコントロールすることができ、運動時の熱中症のリスクを低減することができます。運動の種類や環境に応じて、体の適切な冷却方法を選ぶことが大切です」

(オトナンサー編集部)

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松本和隆(まつもと・かずたか)

医師(日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医)

2000年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)医学部を卒業。三重大学病院で研修後、三重県内各地の病院の内科に勤務し、2007年、三重大学大学院で代謝内分泌内科学の医学博士を取得。三重大学医学看護学教育センター助教やMMC卒後臨床研修センター事務局長を歴任し、三重県内全ての臨床研修病院と連携しながら、三重県独自の卒後初期臨床研修システムの構築に尽力した。その後、三重大学糖尿病・内分泌内科副科長を経て2016年、三重県松阪市に「医療法人松徳会松本クリニック」を開院。地域では数少ない糖尿病専門医として毎日多くの患者の診療を行っている。著書に「おいしい糖尿病レシピ」(伊勢新聞社出版)がある。講演、テレビ出演多数。

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