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あす大事な約束があるの忘れてた…ニンニク料理を食べると臭いが消えにくいのはなぜ?

ニンニク料理を食べた後、臭いがなかなか消えないのはなぜなのでしょうか。専門家に聞きました。

ニンニクを食べると体臭がなかなか消えないのはなぜ?
ニンニクを食べると体臭がなかなか消えないのはなぜ?

 ギョーザやペペロンチーノなどのニンニク入りの料理が好きな人も多いと思いますが、気になるのがニンニクの臭いです。ニンニク料理を食べた後は一定時間、体からニンニクの臭いがしますが、中には、料理を食べてから臭いが消えるまでに半日以上かかるケースもあり、翌日に人と会う用事がある場合は、食べるかどうか迷うこともあります。そもそも、なぜニンニク料理を食べた後、体から臭いが出るのでしょうか。また、臭いが消えにくいのは、なぜなのでしょうか。医療法人松徳会松本クリニック(三重県松阪市)の松本和隆院長に聞きました。

臭い成分が血液中に溶け込み、体臭が持続

Q.ニンニクを食べると、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、食べ過ぎた場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

松本さん「ニンニクにはニンニク特有の臭いの元となる『アリシン』という物質が含まれており、これがエネルギー代謝に必要なビタミンB1を活性化させて代謝率を上げるため、滋養強壮作用を発揮するといわれています。ビタミンB1が不足すると、疲労を感じたり食欲不振になったりします。

ニンニク自体にも可食部100グラム当たり0.19ミリグラムのビタミンB1が含まれており、ニンニクに含まれるアリシンと結合すると体内への吸収率は高まります。ただし、ビタミンB1は熱に弱い性質があるので、ニンニクを加熱調理するときは短時間にとどめるのがポイントです。

ニンニクは可食部100グラム当たり6.2グラムの食物繊維を含んでおり、これは食物繊維が豊富とされるゴボウよりも多いです。食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにしたり、コレステロールを吸着して体外へ排出しやすくしたりする作用が有名ですが、摂取し過ぎると胃を荒らしてしまい、場合によっては下痢をすることもあるので注意が必要です。

また、ニンニクに含まれるアリシンは刺激が強い物質で、殺菌作用があるため、摂取し過ぎると胃の粘膜や胃壁を荒らしてしまう可能性があるほか、腸内に多く存在する善玉菌を減らしてしまい、腸内環境を悪化させてしまう可能性があります」

Q.なぜニンニク入りの料理を食べると、口や体からニンニクの臭いが出るのでしょうか。また、臭いがなかなか消えない理由は。

松本さん「ニンニクに含まれるアリシンは強い臭いを発する物質であり、ニンニク入りの料理を食べると、直後にアリシンが化学反応によって酸化して強い臭いを発し、それが口の中に残留して口臭が強くなります。その後、臭い成分は消化によって血液中に移行して全身を巡り、汗とともに排出されることで体臭として認識されます。

口臭は数時間程度で和らぎますが、臭い成分が血液中に溶け込んでいるため、体臭は翌日になっても継続することがあります」

Q.では、ニンニク料理を食べた後に、臭いを軽減する方法はありますか。

松本さん「ニンニク料理を食べる前に、自身の口臭を抑えておくことが大事です。ニンニクの臭いと口臭が合わさると、より強烈な臭いとなるためです。口臭を抑える方法ですが、口内の唾液分泌が少なくなると口臭が強くなると言われており、普段から1日1.5リットル程度の十分な水分を摂取しましょう。

汗に混じる体臭を軽減するためには、ぬれたタオルで肌を清潔にしておくことが有効ですし、サウナや運動でしっかりと汗をかくことで臭う時間を短縮する効果があると思います。

また、腸内細菌に善玉菌の割合が少ないと悪玉菌が活性化して消化が悪くなり、腐敗臭が血液を通して肺から呼気として排出されて口臭を強くしてしまうので、ニンニクの臭いが長く続いている場合は、ヨーグルトなど乳酸菌が多く含まれる物を食べて腸内フローラ(腸内に張り付いている細菌の状態)を整えるとよいかと思います」

Q.ニンニクと一緒に食べると、かえって臭いがひどくなる食べ物や飲み物があれば、教えてください。

松本さん「さまざまな組み合わせで検索しましたが、科学的にニンニクと食べ合わせて臭いが強くなる食品は見つけられませんでした。しかし、ビールなど臭いがある程度強い食べ物と一緒にニンニク料理を食べた場合、臭いが足されて口臭が強くなることはあり得ると思います」

(オトナンサー編集部)

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松本和隆(まつもと・かずたか)

医師(日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医)

2000年、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)医学部を卒業。三重大学病院で研修後、三重県内各地の病院の内科に勤務し、2007年、三重大学大学院で代謝内分泌内科学の医学博士を取得。三重大学医学看護学教育センター助教やMMC卒後臨床研修センター事務局長を歴任し、三重県内全ての臨床研修病院と連携しながら、三重県独自の卒後初期臨床研修システムの構築に尽力した。その後、三重大学糖尿病・内分泌内科副科長を経て2016年、三重県松阪市に「医療法人松徳会松本クリニック」を開院。地域では数少ない糖尿病専門医として毎日多くの患者の診療を行っている。著書に「おいしい糖尿病レシピ」(伊勢新聞社出版)がある。講演、テレビ出演多数。

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