恋愛から尼僧アイドルまで…お坊さんの“生態”伝えるフリーペーパーが話題に、元編集長に聞く
若手僧侶が作るフリーペーパーが「面白い」「読み応えがある」と話題になっています。
若手僧侶の団体が作るフリーペーパーがSNS上で話題になっています。お坊さんの恋愛事情や「尼僧アイドル」の活動など、なかなか知る機会のない僧侶の“リアルな生態”を等身大で伝えているからです。SNS上では「お坊さんおもろいんだよなー」「めっちゃ面白いからオススメ」などの声が上がっています。どのようなフリーペーパーなのか取材しました。
「仏教を身近に」と願って創刊
フリーペーパーの名称は「フリースタイルな僧侶たち」(年4回発行)。浄土真宗や天台宗、曹洞宗、真言宗など宗派を超えて集まった約30人の若手僧侶の団体「フリースタイルな僧侶たち」の有志や外部ライターが制作、発行しています。
「お坊さん=お葬式」「なんだか偉い人」「厳しい修行をしている立派な人」など、世の中の人が持つ僧侶へのイメージを“ズラす”ことが目的で、仏教とほとんど縁がなかった30代の人たちを中心に読まれています。
発行のきっかけや人気の記事などを、2018年春まで編集長を務めた浄土真宗本願寺派僧侶の若林唯人さんに聞きました。
Q.フリーペーパー発行の狙いは。
若林さん「お寺の参拝者が高齢者ばかりと嘆く僧侶が多いのですが、お寺でじっとしていても若者は来ません。それならば、若者がいる街中へ僧侶自ら出ていき、本当に仏教が若者に見向きもされないものなのか、この肌で確かめたいとの思いからです」
Q.街中へ出て行く時にフリーペーパーを持参したのですか。
若林さん「2009年8月、浄土宗僧侶の池口龍法さんが創刊し、地元京都の街へフリーペーパーを持って出て行きました。東京の秋葉原でも手配りしたのですが、その時は『お坊さんのコスプレをしてフリーペーパーを配る人』と間違われたそうです」
Q.どのようなコーナーがありますか。
若林さん「メインの特集記事のほかに、浄土真宗僧侶の竹林真悟さんの連載『お寺でよく見かけるけれど、なんだろ“アレ”』、お坊さん漫画家・みつざわひろあきさんの『お坊さん日和。』などです。過去には『Ayakaのヘルシー精進レシピ』や『しりとり法話バトル』というコーナーもありました」
Q.人気のあった記事は。
若林さん「特に突出した活動をしていない僧侶の日常を取り上げた『ふつうのお坊さんの生態』、たまに合コンもする『お坊さんの恋愛事情』です。自身が病を患い、死を迎えるまでの物語を疑似体験するワークショップを紹介した『死の体験旅行』、僧侶が大切な人との別れなどの苦悩と向き合う『僧侶の目から見える「苦悩」の光景』も人気でした」
Q.どのように作っているのですか。
若林さん「記事は僧侶自ら書くことの方が多いです。僧侶ではない外部ライターに書いてもらう時でも、編集長の僧侶と相談しながら作成しています。外部ライターには、読者に近い視点から意見をもらっています」
Q.どこで入手できますか。
若林さん「配布スポットとしてご協力いただいているカフェや書店、お寺など東京や京都を中心とした全国約150カ所で手に取っていただけます。ホームページからバックナンバーを見ることもできます」
Q.イベントも開催しているそうですが、どのような目的からですか。
若林さん「参加いただいた人たちにとって仏教が身近なものに、さらには日常に、そして生きる力になれば、との思いで開催しています」
Q.今までどのようなイベントを。
若林さん「『仏教トークライブ 好きな宗派はどっち?~真言宗vs浄土宗~』『経典をナナメから読む会 ~仏教は失恋に効くのか!?~』などです。『修行体験 ブッダニア』『アラサー僧侶とゆるーく話す会』『ハナ唄になるまでが理想の聲明(しょうみょう)講座』は現在も定期的に開催しています」
Q.今後、どのようなことに取り組みたいと考えていますか。
若林さん「僧侶の日常を体感し、楽しみながら修行できる『修行体験 ブッダニア』の2回目を計画しているので、良いイベントになるように力を尽くしていきたいと思っています。フリーペーパーは、8月1日に発行する次号が新編集長が関わる最初の号なので、しっかり支えていければと思います」
(報道チーム)
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