離婚の意思がないのに…無断で「離婚届」を出された! このまま“離婚成立”してしまうの? 弁護士に聞いた
夫婦のどちらかが一方的に、「相手に無断で離婚届を提出していた」トラブル事例は少なからず存在します。この場合、本当に「離婚成立」となってしまうのでしょうか。弁護士に聞いてみました。

「自分の知らないところで、勝手に離婚届を出されていた」「知らない間に離婚が成立していた」。多くないケースではあるものの、このようなトラブル経験がある人は少なからずいます。実際に、夫婦のどちらかが一方的に、相手に無断で離婚届を提出していた場合、そのまま離婚が成立してしまうのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。
離婚の意思は“離婚届を提出する時点”にも必要
Q.そもそも、「離婚」とはどのように成立するものなのでしょうか。
佐藤さん「夫婦で話し合って、双方が納得して離婚する場合を『協議離婚』といいます。離婚する夫婦の約90%が、協議離婚によって離婚しています。
協議離婚は、(1)当事者間において離婚の合意がなされ(民法763条)、(2)戸籍法の規定に基づき届け出をすることによって成立します(同法765条)。なお、夫婦の間に未成年の子がいる場合には、夫婦のどちらかを離婚後の親権者と定めたうえで届け出をする必要があります(同法819条1項)。
当事者間で離婚の話し合いが成立しない場合、離婚調停を申し立てます。調停でも話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、判決によって離婚を認めてもらうことになります。これを『裁判離婚』といいます。
裁判離婚の場合、『法定離婚事由』が必要になります。法定離婚事由には、(1)不貞行為(2)悪意の遺棄(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないこと(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があること―の5つがあり(民法770条1項)、いずれかが認められる必要があります」
Q.夫婦のどちらか一方の同意がないまま、離婚届を提出・受理されていた場合、そのまま離婚は成立してしまうのでしょうか。
佐藤さん「先述したように、協議離婚が成立するためには、(1)当事者間において離婚の合意がなされること(2)離婚届を出すこと―の2つが必要です。そのため、夫婦のどちらか一方に離婚する意思(法律上の婚姻関係を解消する意思)がない場合、(1)の要件を満たさず、形式的に離婚届が提出・受理されたとしても、理論的には、離婚は無効になります。
例えば、次のようなケースが考えられます」
【全ての記入欄を、夫婦のどちらか一方が“勝手に”記入していた場合】
相手方の同意なく、離婚届を夫婦の一方が勝手に記入、提出した場合、夫婦の一方に離婚意思がないと考えられるため、離婚は無効になります。
【記入欄に、それぞれ本人が“自分の意思で”記入をしていた場合】(※「以前、けんかしたときに記入した」ケースなど)
離婚届に記入した時点では、夫婦双方に離婚意思があったけれども、その後、一方が離婚意思を失う、ということがあります。この場合、過去に作成された離婚届を、相手方の意思を確認しないまま、役所に提出してしまうことがあり得ますが、こうした離婚も無効になります。
離婚意思は、離婚届に“記入する時点”だけでなく、離婚届を“提出する時点”でも必要だからです。
【離婚届を“勝手に出された側”が不倫をしていた場合(その他、出された側に何らかの不利な事情がある場合)】
離婚届を勝手に出された側が不倫をしていたなど、何らかの問題があった場合でも、結論は変わりません。協議離婚の場合、双方が離婚意思を有していなければ、離婚は成立せず、無効になります。
「相手の不倫が発覚し、離婚したい。しかし、相手が離婚に応じてくれない」といったケースでは、離婚調停を申し立て、家庭裁判所の手続きの中で離婚するようにしましょう。不倫の証拠があれば、裁判になったとしても、先述した「法定離婚事由」が認められ、離婚することができます。

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