オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

  • HOME
  • ライフ
  • ランニング、低糖質ダイエット…とても珍しい“漫画版”健康実用書、なぜ作った?

ランニング、低糖質ダイエット…とても珍しい“漫画版”健康実用書、なぜ作った?

雑学の「マンガでわかるシリーズ」などを出版する池田書店が、健康実用書では珍しい漫画版を発行しています。

「マンガでわかる 新しいランニング入門」の漫画(池田書店提供)
「マンガでわかる 新しいランニング入門」の漫画(池田書店提供)

 雑学の「マンガでわかるシリーズ」などを出版する池田書店(東京都新宿区)が、ダイエットやランニングなど健康実用書でも漫画版を発行しています。書店に行くと雑学やビジネス書の漫画版が数多く見られますが、健康実用書では珍しいそうです。発行の経緯を取材しました。

「漫画=ざっくり」「文章=じっくり」と役割分担

 池田書店がこれまでに発行した漫画版の健康実用書は「マンガでわかる 1日1回の腹筋でお腹を凹(へこ)ませる方法」「マンガでわかる 新しいランニング入門」「マンガでわかる 1カ月3キロやせる ゆるい低糖質ダイエット」(いずれも本体価格1000円)の3冊です。

 漫画だけでなく文章で理論を解説し、イラストも多く用いているほか、著者や監修者にその道の第一人者を起用していることが特徴です。なぜ健康実用書の漫画版を発行したのか、編集部の高橋隆太さんと営業部長の野口英之さんに聞きました。

Q.健康実用書を漫画版で発行した理由は。

高橋さん「ビジネスや雑学の書籍には漫画版がありますが、健康実用書にはありませんでした。そこに目を付けたのがきっかけです。

当社には雑学の『マンガでわかるシリーズ』があり、このノウハウを生かしてラインナップを広げたいという狙いがありました。コミックでも、生活実用をテーマにした面白い作品があるので、実用書の漫画版でも、良いもの、売れるものを作ることができると考えました」

Q.健康実用書の漫画版は珍しいのですね。

高橋さん「珍しいです。類書がないため、シリーズ1作目『1日1回の腹筋でお腹を凹ませる方法』は企画を通すのに苦労しました。自分で、漫画のネームや図解する部分のイラストを描いたりして、内容を具体的にプレゼンしてようやく通過しました」

Q.他社も含め、健康実用書の漫画版が発行されてこなかった理由は。

高橋さん「他社の事情は完全には分かりませんが、理由は3つ考えられます。1つ目は、類書がないので、企画を立案できても会社で承認されなかったのかもしれません。漫画版の可能性を企画段階で共有するのは難しいです。

2つ目は、本1冊作るのに複数のスタッフが必要となり、手間とコストがかかることです。実用書は通常の執筆に加え、取材、撮影、イラスト執筆、デザインなど多くの人手と時間、費用が発生します。漫画を加えると、さらに手間と費用が加わります。

3つ目は、基本的にベストセラーの漫画化が多いビジネス漫画に対し、実用漫画は取材からスタートし、シナリオを考え、何を漫画で解説するかを決めて構成していくからです。経験がなければ難しいと思います」

Q.漫画版は書籍版と比べて何が分かりやすくなりましたか。

高橋さん「例えば『ランニング入門』の走り方では、『動き』『スピード』『ツラさ(難しさや、負荷)』を漫画のキャラクターが実践することで、リアリティーを持って伝えています。

『お腹を凹ませる方法』では、ゆっくり、おなかをプルプルさせながら腹筋を行うわけですが、この状況をイラストや写真で伝えることは難しいのです。しかし漫画ならば、主人公がいかにもつらそうに行うことで、読者にどんな運動なのかを容易に伝えることができます。

『低糖質』でいえば、料理を食べて『おいしい!』とストレートに伝えることができるのも、通常の料理書にはできないところだと思っています。実用書で『おいしい』と書かれると自画自賛で嫌みに感じることもありますが、漫画のキャラクターのセリフやリアクションであれば自然に受け取ることができます」

Q.工夫したことは。

高橋さん「漫画だけでなく文章でも解説しており、その役割を『漫画=ざっくり』『文章=じっくり』とはっきりさせています。文章を読むだけだと難しいと感じる読者もいらっしゃるかと思います。しかし、漫画を読んでもらえれば『何をすれば目的を達成することができるか』をざっくりと理解してもらえるので、分かりやすいと感じてもらえるのではないかと思っています」

Q.苦労したことは。

高橋さん「『やり方』や『理論』を漫画家さんに伝え、分かりやすく、なおかつ面白い漫画を作って描いていただくことです。『分かりやすい』表現はもちろん、ストーリーとして『面白い』ものになるように、著者に徹底的に取材して、スタッフでメソッドを体験し、その上で試行錯誤して、納得できるまで議論を重ねました」

Q.読者からの反響はいかがですか。

高橋さん「読みやすい、分かりやすい、主人公たちの悩みに共感できる、著者のメッセージが気に入ったなどの反響があります。また、中高年の人たちの、おなかが凹みましたという声。ランナーの人たちからの、悩みの原因がわかった、解消したというメッセージ。ダイエットに成功した、続けられるのがうれしいという女性からの感想も頂いています」

Q.同じ本でも書籍版と漫画版では、売り上げにどれくらいの差が出ますか。

野口さん「『1日1回でお腹が凹む! 完全腹筋メソッド」』と『マンガでわかる 1日1回の腹筋でお腹を凹ませる方法』を比べると、売り上げに大きな違いはありません。ただ、漫画版の方が幅広い層に受けている印象があります。

例えば『完全腹筋』は駅の書店やビジネス街の書店で売れましたが、『マンガ』は郊外の書店などでも売れています。『マンガ』の方が女性読者が多いということ、初心者に訴求力があることが理由だと考えています」

Q.今後も、健康実用書の分野で漫画版を刊行する予定はありますか。

高橋さん「さらにラインナップを広げていくため、さまざまな分野で取材を重ね、企画を考えています」

(報道チーム)

1 2

コメント