「かゆい」あせもと「かゆくない」あせも、どう違うの? 原因&予防法を皮膚科医に聞いた
夏場に悩まされる人も多い「あせも」。かゆみを伴うタイプと、かゆみのないタイプが存在するようですが、この両者はどう違うのでしょうか。皮膚科医に聞きました。

汗をかきやすい部位にポツポツができる「あせも」。毎夏、悩まされているという人も多いのではないでしょうか。あせもには、かゆみを伴うタイプと、かゆみのないタイプが存在するようですが、この両者にはどんな違いがあるのでしょうか。たかはし皮膚科クリニック(兵庫県尼崎市)院長で皮膚科医の高橋謙さんに聞きました。
外観上の違いは「赤みがあるか、ないか」
Q.そもそも「あせも」とは何ですか。
高橋さん「あせもの医学的な正式名称は『汗疹(かんしん)』といいます。症状としては、かゆみを伴う赤い小さなブツブツが集まって出現します。
あせもの原因は、汗を皮膚に出す管である『汗管(かんかん)』が目詰まりを起こすことです。体幹部や四肢屈曲部(腕、膝など)に多いとされていますが、臨床現場では、額や鼻の頭、肘、首などに出てきやすい印象です。基本的にはお子さんに多くみられ、大人にはあまりみられません。
汗をかいて出てくる湿疹をあせもと勘違いされて受診される方も多いのですが、大人の場合、たいていは汗による刺激性の皮膚炎(接触皮膚炎)がほとんどです。ただ、『ステロイド系外用剤を用いて治す』という点では、あせもと、汗による刺激性の皮膚炎(接触皮膚炎)とを厳密に区別する必要がないのが実際のところではあります」
Q.あせもには、「かゆみを伴うタイプ」と「かゆみのないタイプ」の2種類があるというのは事実ですか。
高橋さん「事実です。あせもには、かゆみを伴うタイプと、伴わないタイプのものがあります。
外観上の違いは、『赤みがあるか、ないか』で区別ができます。かゆみを伴う『紅色汗疹(こうしょくかんしん)』には赤み、つまり炎症があります。一方、かゆみを伴わない『水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)』には赤みがなく、透き通った小さな水膨れのように見えます。
原因としては、先述の『汗管』の目詰まりを起こす部位に違いがあります。かゆみを伴うものは、角層の下にある表皮層で目詰まりを起こして生じ、かゆみを伴わないものは角層で目詰まりを起こして生じます。できやすい部位としては先述した通りですが、汗をかきやすい環境下にある人や、肥満の人、多汗症の人が特にできやすい傾向にあります」
Q.2タイプのあせもはそれぞれ、どのように治したらいいですか。
高橋さん「かゆみを伴うあせもの場合、ステロイド系の外用剤を用いて治療することになります。一方、かゆみを伴わないあせもは特に治療の必要はなく、数日で引いていき、その後に軽度の皮むけのような症状が出てきます」
Q.夏場、あせもになるのを防ぐために、日常生活上で意識・注意するとよいことはありますか。
高橋さん「保湿など、基本的なスキンケアをしっかりと行いながら、『肌に擦れなどの刺激を加えない』『汗をかきやすい環境をなるべく避ける』ことを意識しましょう。汗を拭うときも、タオルでゴシゴシ拭き取るのではなく、タオルを当てて押さえ、汗を染み込ませるようにするとよいでしょう。複数回シャワーを浴びる際も、『擦れ刺激』を加えないため、そして皮脂を取り過ぎないために、毎回せっけんでゴシゴシ擦って洗うことは避けてください。
あせもができて、かゆみの症状が出てきたら、なるべく早くに皮膚科を受診してください。そのままにしておくと、かいた部分から細菌が入り込み、『汗疹性膿痂疹(かんしんせいのうかしん)』という悪化した状態になることがあります。やむを得ず受診ができない場合、かゆみが強ければ保冷剤をタオルでくるんで冷やすと、かゆみが緩和します」
(オトナンサー編集部)
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