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洋服の「タグ」がチクチクして痛い! こすれて肌が荒れる「接触皮膚炎」どう対処? 皮膚科医に聞いた

洋服についている「タグ」で、「肌がかゆい」「赤くなった」などの肌トラブルが起こるケースは少なくないようです。タグによる肌荒れの原因や対処法を、皮膚科医に聞きました。

「洋服のタグが痛い」経験ある?
「洋服のタグが痛い」経験ある?

 多くの洋服につけられている「タグ」。首の後ろの部分のブランドタグや、洗濯表示のタグなど、肌に直接触れる場所にあることが多いですが、このタグによって「チクチクして痛い」「赤くなってかゆい」といった肌トラブルが起こるケースは大人・子ども問わず少なくないようで、「接触皮膚炎(接触性皮膚炎)」と診断されることもあるようです。

 洋服のタグによる肌トラブルはなぜ起こるのでしょうか。原因や対処法について、たかはし皮膚科クリニック(兵庫県尼崎市)院長で皮膚科医の高橋謙さんに聞きました。

「アトピーの素因がある人」は特に注意

Q.洋服のタグが肌に当たることによる「接触皮膚炎」とは、どのような肌トラブルですか。

高橋さん「一言でいうと刺激性の皮膚炎で、物理的負荷(こすれ刺激)が皮膚にかかることにより出てくるものです。皮膚に刺激が加わると皮膚炎を生じてしまう人が一定数いますが、一般的に『肌が弱い』人に出てくる現象であり、そうしたベースの体質と、刺激が加わることが原因といえます。

症状としては、赤みやかゆみ、膨れ、ジュクジュクしてくるといった、いわゆる皮膚炎や湿疹の症状です。洋服のタグ以外では服の縫い目、生地が重なって分厚くなっている部分、下着の金具の部分など、生地がやや出っ張ったところに症状が出てきます」

Q.洋服のタグで接触皮膚炎を起こしやすい人の特徴はありますか。

高橋さん「先述したように、『肌が弱い』人に出てきます。この『肌が弱い』人の大部分は、アトピーの素因がある人です。分かりやすく言うと、花粉症を含むアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくになりやすい体質の人、以前になったことがある人を指します。採血による検査上、これらの人はアトピー鑑別試験(ファディアトープ)の項目が陽性になります。ただし、検査の特性として『偽陰性』(偽物の陰性)も多いため、必ずしも陽性になるとはいえず、この場合は経過でもって偽陰性と判断することになります。

その他、実際の臨床の現場では、接触皮膚炎は青年期に、性別としては女性に多い印象ですが、もしかするとこれは洋服のタグの大きさや出っ張りによるものかもしれません。タグは女性用の衣類の方が大きかったり、刺しゅうなどの装飾による立体的な印象があったりするからです。

生活習慣、食生活はあまり関係がない印象です。肌質、持病、遺伝的要因に関しては、先述のアトピーの素因がある場合、一般的にいわゆる『ドライスキン』がある傾向にあるため、ドライスキンの肌質の人には出やすいといえるでしょう。また、持病に関しても、先述した花粉症を含むアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくの人に出やすく、またこれらの疾患は遺伝的要因も強くみられるため、親が疾患を持つ場合、お子さんにも出やすい傾向があるといえます」

Q.接触皮膚炎の症状を軽減するために、日常生活上でできることや、注意すべきことはありますか。

高橋さん「やはり、刺激自体を避けること、受けないようにすることでしょう。例えば、可能であれば『タグを外す』などです。

注意点としては、かゆみが出てもかかないことです。どうしてもかゆければ、保冷剤をタオルにくるんで冷やすなどして対応してください。自己判断によるステロイド系外用剤の使用はあまり推奨できません。また先述の通り、この症状が出る人は皮膚炎を起こしやすい体質であることが多いため、症状が出てきたら速やかに皮膚科を受診していただくことをお勧めします。

また、抗アレルギー剤は、服用時に出ているかゆみを軽減させる効果はやや低いですが、継続服用することで、かゆみの出やすさを軽減させる効果が得られます。体質的にかゆみが出やすい場合、抗アレルギー剤の服用もお勧めです」

(オトナンサー編集部)

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髙橋謙(たかはし・けん)

医師(皮膚科医・たかはし皮膚科クリニック院長)

1999年大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)卒業、東京女子医科大学循環器内科へ入局。その後、大阪府下で有数の患者数を誇った実家クリニック(元・髙橋内科皮膚科クリニック、現在は閉院)の継承を念頭にさまざまな疾患を診られるよう、2004年に京大病院総合診療科へ入局。専門科に割り振れない、さまざまな疾患(難病・奇病)の診療を経験し、2006年に関西電力病院総合内科へ入局。日常診療に加え、研修医・医学生への指導にあたる。2009年に髙橋内科皮膚科クリニックへ所属し、大阪市立総合医療センター皮膚科にて研修を行う。その後、髙橋内科皮膚科クリニックにて皮膚病疾患診療の研さんを積み、2015年12月にたかはし皮膚科クリニックを開業。現在は1日当たり80~130人の患者の診療にあたる。たかはし皮膚科クリニック(https://www.takahashi-hifuka.com/)。

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