“社畜”状態の38歳夫、うつ病→ひきこもりに 家計破綻の大ピンチ 崖っぷち一家が再起に向けた“秘策”
収入源は1つだけとは限らない
事情を把握した私は、妻に次のような提案をしました。
「お金に関する不安があるようでしたら、障害年金と障害者雇用による就労の組み合わせで収入を得る方法もあります。それぞれの収入が心もとなくても、2つを組み合わせることで何とかなるかもしれません。なお、ご主人が初めて病院を受診した日は、会社員のときで厚生年金に加入していたので、障害厚生年金を請求することになります」
「そのような方法もあるのですね。仮に夫が障害厚生年金をもらえることになった場合、いくらになるのでしょうか」
「障害厚生年金の額は、今までの給与や賞与を基に計算されます。正確な金額を出すのは難しいのですが、概算であれば試算可能です」
「大まかな金額で構いません。お願いします」
夫の今までの年収を平均すると500万円ほどになるとのことなので、その金額を基に私は大まかな年金額を試算しました。
■障害厚生年金の3級に該当した場合(月額換算。100円未満切り捨て)
約4万9600円
■障害厚生年金の2級に該当した場合(月額換算。100円未満切り捨て)
障害厚生年金 約5万7000円
配偶者加給年金額 約1万9000円
障害基礎年金 約6万6200円
子の加算額 約1万9000円
障害年金生活者支援給付金 約5100円
合計 16万6300円
金額を見た妻は言いました。
「障害厚生年金の3級と2級では金額に大きな違いがあるのですね。夫が2級に該当すると、家計的にもかなり助かるのですが…。その辺はどうなのでしょうか」
「障害厚生年金の何級に該当するかは、結局のところ請求してみないと分かりません。何級に該当するかは、医師の書く『診断書』とご主人または代理人が書く『病歴・就労状況等申立書』の2点で主に判断されます。それぞれの書類には、ご主人の日常生活の困難さを記載することになっています」
そこまで説明した私は、妻から夫の日常生活の様子を聞き取りました。夫は自分で食事の用意をする気力が湧かず、食事全般を妻に頼っています。食べる量は少なく、おかゆを茶碗半分だけ食べるのが精一杯のときもあるそうです。入浴は1週間に1回から2回程度で、下着の着替えは1週間に2回から3回です。掃除や洗濯をする気力が湧かず、すべて妻に頼っています。
外出する気力も湧かず、日常生活で必要な物は妻に買ってきてもらっています。また、頭がぼーっとしてしまうことがあり、蛇口の温度設定が高温になっていることに気が付かずに手をやけどしてしまったこともあったそうです。
聞き取った内容をメモした後、私は妻に視線を向けました。
「今お話しいただいたような内容を、もっと多く、もっと具体的に文書にまとめていくことになります。書類作成が大変なようなら、私(筆者)が代わりに作成することもできます。もちろん、ご主人の同意が必要になりますが」
「それは心強いです。夫が自分で書類を作成することは難しいでしょうし、私(妻)も仕事や家事、育児で時間に余裕がないので、とても助かります。夫にも専門家に協力してもらえることを伝えてみます」
面談後、夫から同意を得られた私は、障害厚生年金に必要な書類をそろえ、請求を完了させました。
請求から4カ月が過ぎた頃、妻から障害厚生年金の2級が認められたとの報告を受けました。夫は年金収入が得られたことに安心し、心が少し軽くなったようです。気持ちも前向きになり、現在は就労支援を受ける準備を進めているとのことでした。
夫が再就職に向けて動き出すことができたことに対して、私はうれしく感じました。
(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)



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