静かに溺れます! 子どもの“溺水”に注意喚起するイラストに「怖い」などの声、投稿者に聞く
子どもが溺れかけたケースの9割は浴室
Q.日常生活における子どもの溺水のリスクについて教えてください。
坂本さん「SNSでの反響を受け、この春、佐久地域(長野県)の保育園児約3000名の保護者を対象に大規模なアンケート調査を行いました。回収した約2000枚のアンケートを分析した結果、驚くべきことに『子どもが溺れかけてヒヤッとした経験』のある保護者は実に41%に達していました。
この結果からも、子どもが溺れかけることは決してまれではないことがわかります。また、そのうちの84%は助けを求めたり声を上げたりすることもなく、58%はバシャバシャする音もなく、静かに溺れかけていたとのこと。この調査からも、乳幼児が溺れる時は静かであると考えておいた方がよさそうです」
Q.子どもが溺水しやすいのはどのような状況ですか。
坂本さん「私たちのアンケート調査では、溺れかけたケースの9割は浴室でした。溺れ方はさまざまで、親の洗髪中に浴槽内で足が滑って溺れたケースや、浴槽外からおもちゃを取ろうとして頭から浴槽内に落ちたケースもありました。入浴は毎日の生活習慣であり、浴槽は身近な存在です。浴室に子どもが一人で入らないようにしたり、残り湯に注意したりするなど、工夫が必要かと思います。
また、鼻と口を覆うだけの水があれば、つまり水深が10センチ程度であっても溺れると言われており、『浅いから大丈夫』というわけではない、と理解することも大事です」
Q.子どもが溺れてしまった場合、どのような応急処置が必要でしょうか。
坂本さん「水中での時間が5分を超えると、脳に後遺症を残す可能性が高くなると言われています。水中から引き揚げた後の処置は、次の順序で行ってください。
1.平らな場所に寝かせる
2.意識があるか確認する(意識がなければ人や救急車を呼ぶ)
3.意識がなければ、絶え間なく心臓マッサージと人工呼吸を行う
溺水の場合、以前はまず肺の中の水を外に出すために、固形物を飲み込んだ時の救急処置である『ハイムリック法』(患者の背中側から抱きかかえて、両腕でおなかに手を回して圧迫する処置)をすべきだ、と言われたこともありましたが、あくまで固形物に対する処置であり、液体に対しては効果がありません。むしろ、誤嚥(ごえん)を誘発する危険がある上、最優先すべき心肺蘇生を遅らせてしまうため、現在は推奨されていません」
Q.子どもの水の事故を防ぐために気をつけるべきことはありますか。
坂本さん「最近はお風呂用の浮輪(首浮輪やおむつ型浮輪)が出回っていますが、親が目を離したすきに、これを使用していた子どもが溺水してしまう事故が起きています。首浮輪は空気が十分に入っていない、あるいは抜けていると容易に口や鼻が水面下に沈みますし、おむつ型浮輪は乳幼児の重心の位置が高くなるため転倒しやすいです。そして、いったん転倒すると元の位置に戻らないため、溺水となる可能性が高くなります。
浴槽用浮輪は事故を引き起こすリスクがあり、小児科学会は使用しないように勧告しています。小児科医としてもこのグッズは危険だと考えており、お勧めしません。もし使う場合、そのリスクを十分に理解し、浮輪をつけているからといって油断しないことが大事です」
Q.その他、周囲の大人が意識すべきことは何でしょうか。
坂本さん「水の事故が起こると『どうして目を離したのだ』と保護者や監視員を責める論調がインターネットの掲示板などでよく見られます。確かに目を離さないことは大切ですが、子どもの敏捷(びんしょう)性は大人の想像の上を行く場合があります。これは子育てをしている方であればよくお分かりいただけると思います。常時目を離さないでいることは現実的には不可能です。視界から外れてしまってもすぐに溺れないために、次のような対策が考えられます」
・川遊びでは必ずライフジャケットを着用する。脱げやすいビーチサンダルは避け、ウォーターシューズを着用する
・浴室の残り湯は抜いておき、浴室のドアは鍵がかかるものにし、柵をつけて近づけないようにする
・複数人で入浴する習慣をつける
(ライフスタイルチーム)

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