体験描く漫画も話題に 人にわざとぶつかる行為に「腹立つ」「犯罪では」の声、法的には?
駅構内や店内など、街中で「わざとぶつかる人」が話題です。こうした行為の法的問題について、弁護士に聞きました。
駅構内で女性にわざとぶつかりながら歩く「ぶつかり男」が話題です。ツイッター上では「#わざとぶつかる人」というハッシュタグも登場し、自分も同様の経験をしたという報告が相次いでいます。先日は、書店で買い物中にぶつけられた経験のある女性が描いた漫画が話題となりました。作者の卯々乃さん(ペンネーム)によると、ぶつかってきたのは「ごく普通の男性」。読者からは「同じような怖い思いをした」という感想が寄せられているそうです。
わざとぶつかる行為について、SNS上では「気持ち悪い」「腹立つ」「確かにこういう人いるよね」「犯罪じゃないの?」などの声が上がっていますが、こうした行為にはどのような法的問題があるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
現行犯で捕まえることが重要
Q.街中で故意にぶつかる行為は、犯罪にあたりますか。
牧野さん「すれ違う人に故意にぶつかった場合、ケガをさせなくても、暴行罪(刑法208条、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料)に該当するでしょう。ケガをさせれば、傷害罪(刑法204条、15年以下の懲役または50万円以下の罰金)に該当します。故意にケガや精神的な損害を与えているので、被害者は発生した損害について不法行為(民法709条)に基づく賠償請求が可能でしょう」
Q.胸などを狙ってぶつけられた女性もいるようですが、この場合はどうでしょうか。
牧野さん「故意に女性の胸を触る行為は、強制わいせつ罪(刑法176条、6カ月以上10年以下の懲役)に該当します」
Q.故意にぶつかってくる被害を受けても、泣き寝入りせざるをえないケースが多いようです。有効な対策や対処法はありますか。
牧野さん「目の前で犯罪が行われれば、現行犯にあたります。『現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる』(刑事訴訟法213条)ので、警察などの捜査機関以外の一般人でも逮捕する権利があります。ラッシュ時には難しいかもしれませんが、加害者を特定して捕まえる(捕まえてもらう)ことが重要です。加害者を現場から逃がすと、後日捕まえるのは難しいでしょう」
(ライフスタイルチーム)
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