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合格発表シーズン到来! 「合格祝い」贈る側&受け取る側の疑問いろいろ、マナーコンサルタントに聞いた

「合格おめでとう」の気持ちを伝える「合格祝い」。いつ渡すのがいいのか、お返しは必要か、入学祝いも贈った方がいいのか…さまざまな疑問についてマナーコンサルタントが解説します。

「合格祝い」の疑問を解決!
「合格祝い」の疑問を解決!

 受験勉強を頑張ってきた孫やおい、めいから届いた「合格」のうれしい知らせ。「おめでとう」の気持ちを伝えるとともに、「合格祝い」を贈りたいと考える人も多いことでしょう。そこで、合格祝いを贈る側が悩みがちな「渡す時期はいつがいいのか」「入学祝いも贈るべきか」、そして受け取る側が悩むことの多い「お返しは必要か」について、一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」(東京都港区)代表理事でマナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。

お返しは「一般的には不要」だが…

Q.まず、「合格祝い」の基本的な意味合いについて教えてください。

西出さん「合格祝いとは、何かの試験などに『合格』したときに贈るお祝いです。家族や親戚、友人、知人など、合格した人に対して、その合格を祝う気持ちを『合格祝い』とし、贈り物として表現します。贈り物をする側も、贈られる側も、合格記念として心に残ることとなるでしょう」

Q.合格祝いを贈る際、渡す時期やタイミングはいつがよいのでしょうか。

西出さん「一般的には、合格したことを知ったら、なるべく早めに贈るのがよいといわれています。しかし例えば、複数受験している場合などは、合格を知るたびに贈ることはしないと思います。合格を知り、最終的に入学する先が決定したタイミングでも遅くはありません。遅くとも、入学式などの1週間前くらいまでには贈るとよいともいわれています。この場合、入学式が近づいているので『入学祝い』として贈ってもよいですね。

贈るときに気を付けることとしては、第1志望校に合格しなかった場合には、合格祝いよりも『入学祝い』の方がよいときもあるでしょう。一方で、合格はしたものの、最終的に入学をしない場合もあります。合格祝いを贈るときには、直接その本人やご家族から連絡をいただいた際に贈ると、間違いがないと思います」

Q.その「入学祝い」について、合格祝いを既に渡していた場合も、入学時期に別途渡した方がよいのでしょうか。

西出さん「先述した通り、『合格祝い』は『合格をしたことに対するお祝い』です。それには、一生懸命頑張ったことに対するねぎらいも込められていると考えます。一方で『入学祝い』は、実際に入学することが決定し、その前途を祝す意味合いが強くなります。

贈り物の大前提として、『気持ち』が土台となります。それは相手との関係性において、合格したことに対して『合格祝い』を贈りたいと思えば、その気持ちを形にして贈ればよいでしょう。そして入学することが決定した場合、別途『入学祝い』を贈りたいと思えば、贈ってもよいと考えます。もちろん、どちらか一つを贈るだけでも構いません。

相手との関係性には、合格者、入学者と直接親しい間柄の場合もあれば、そのご家族との関係の上で贈る場合もあります。こうしなければいけないという決まり事はないので、どのような関係性かに応じて、ねぎらいとお祝いの気持ちを伝えるとよいでしょう」

Q.合格祝いを受け取ったら、お返しは必要ですか。それとも不要ですか。

西出さん「合格祝いのお返しは、一般的には不要といわれています。合格祝いを贈る対象者の多くは、収入のない未成年のお子さまが多いため、子どもからお返しをすることはできない、という理由からです。また、そもそもが『ねぎらいの気持ちを表すもの』ですから、それに対してお返しを頂くことは不要とも考えます。

しかしながら、地域やそのご家族などの考え方から、頂いた贈り物(金額)の半分から3分の1程度をお返しする場合もあります。収入のある成人が合格祝いを頂いたときには、その気持ちに対してのお礼として、お返しを差し上げてもよいですね。

ただ、このような合格祝いのお返しも、こうしなければならないという絶対的な決まり事はありません。それぞれの環境や考え方により、それが自分と異なる場合でも『失礼』などと思わないことが、本来のマナーとして大切なことです。

なお、お祝いを頂いたら、その対象者からお礼状や電話などでお礼を伝えるのは大事なことですね。お子さまに合格祝いを頂いたら、その保護者からもお礼を伝え、良好な関係を継続させるとよいでしょう。また、特にお返しとしてではなくとも、何か別の機会などに、それに代わる意味合いで贈り物をすることで、お互いさまの関係が成り立ちます」

(オトナンサー編集部)

西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント、マナー解説者、美道家

ヒロコマナーグループ代表。一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」代表理事。大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経て、マナー講師として独立。マナーの本場英国へ。オックスフォードにて、オックスフォード大学大学院遺伝子学研究者のビジネスパートナーと1999年に起業し、お互いをプラスに導くマナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナーコンサルティングなどを行い、他に類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績はテレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「龍馬伝」をはじめ、NHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」などのドラマや映画、CMのマナー指導・監修者としても活躍中。著書は28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)、16万部を超える「改訂新版 入社1年目 ビジネスマナーの教科書」(プレジデント社) など監修含め国内外で100冊以上。「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」「かつてない結果を導く 超『接待』術」(共に青春出版社)など子どものマナーから、ビジネスマナー、テーブルマナーなどマナーのすべてに精通。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)。
※「TPPPO」「先手必笑」「マナーコミュニケーション」「真心マナー」は西出博子の登録商標です。

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