「女性、もっと寛大に」「3人産んで」 “失言”繰り返す人の心理とは? 専門家に聞く
世の中には「失言を繰り返してしまう人」がいますが、その心理はどのようなものなのでしょうか。専門家に聞きました。

自民党の桜田義孝元五輪相が7月5日、参院選の応援演説で、少子化問題や未婚者の増加に関連して「男の人は結婚したがっているが、女の人は無理して結婚しなくていいという人が増えている(中略)女性も、男の人に寛大になっていただけたら」と発言したとの報道がありました。
桜田氏は後日、自身の公式ツイッターで「特定の性別、年代、結婚観などをやゆする意図ではない」旨の釈明をしたものの、批判の声が上がりました。桜田氏は2019年5月、少子化問題に関連して、「子どもは最低3人くらい産んでほしい」などと述べて釈明コメントを出すといったように、たびたび「失言」を繰り返しています。桜田氏に限らず、世の中には「失言を繰り返してしまう人」がいますが、その心理はどのようなものなのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。
注意欠陥や衝動性の課題?
Q.いわゆる「失言」を繰り返してしまう人の心理的特徴を教えてください。なぜ、失言を繰り返してしまうのでしょうか。
小日向さん「パーソナリティーの特徴として『注意欠陥』『衝動性』の課題を抱えている人が多いと感じます。『注意欠陥』の主たる症状としては、忘れ物が多い、時間管理ができない、うっかりミスが多い、といったものがありますが、今回の桜田元五輪相のように『発言を注意されても繰り返してしまう』といったものもあります」
Q.失言を指摘されても繰り返す人は、指摘や批判を気にしていないのでしょうか。
小日向さん「気にしている人と気にしていない人がいます。『気にしている人』は、先述したように注意欠陥の課題を抱えている人です。桜田氏は、参院選時の発言の前に、『ちょっと問題発言かもしれませんが…』と前置きしました。この発言からは、失言を慎もうという自覚はあったことが見受けられます。従って、彼の場合は『気にしているのだけれど、うっかり言ってしまう』という注意欠陥の可能性が高いように思います。
また、気にしていない人には大きく分けて2つの状態があると考えます。一つは炎上狙いなど意図的に行った場合。この場合は気にする、というネガティブな感情ではなく、むしろポジティブに受け止めます。もう一つは器質(体の器官の性質)的に問題がある場合です。器質的な問題を抱えている場合、指摘や批判は自分事ではなく、自分の周りが騒いでいる事象として捉えるだけで当人は気にしません」
Q.桜田氏は、失言だと自覚しながらも言ってしまうのでしょうか。
小日向さん「自覚しながらも言ってしまうのだと思います。先ほど、失言の多い人の性格的な特徴として『注意欠陥』と『衝動性』を挙げましたが、この『自覚しながらも言ってしまう』という行動は、まさに衝動性の特徴と言えます。
一般的に『衝動性』と聞くと、暴力や破壊行動を想像する人が多いと思いますが、心理学的な衝動性とは暴力だけでなく、『頭では分かってはいるけど、湧き上がる気分を止められない』という心の状態から生じるさまざまな言動も含みます。桜田元五輪相については分かりませんが、自身の衝動性について悩んでいる人は、臨床の現場でも珍しくありません」
Q.「自分は失言をしがちだ」と自覚している人が、失言しないようにするには、どうすればよいのでしょうか。
小日向さん「失言をしてしまう原因がどこからくるのかを自己分析してみることが大切だと思います。これには『視覚化して考える』というやり方をおすすめします。具体的にはフローチャートのように『発言内容』→『言ったときの自分の気持ち』→『周囲の反応』→『それを受けての自分の気持ち』を書き出して、どこに問題があったのかを視覚化し、どの部分の思考を修正すれば良いのかを確認するのです。
自分の思考を書き出すだけでも客観性が養われます。ただし、失言だけでなく注意欠陥や衝動性の課題がとても多いと感じている場合は、専門機関の受診を検討してもよいと思います」
Q.失言を繰り返す人が周囲にいた場合、どう対処すればよいのでしょうか。
小日向さん「失言を繰り返す人は、例えば『女性は子どもを3人以上産みましょう発言はダメ』と言われたら、その一文はダメだと分かるのですが、『女性蔑視やジェンダー差別的な発言がダメなのだ』という物事の本質は理解が難しい場合が多いです。そのため、当人と一緒に単語帳のようにNGワードを1枚1枚重ねていくことが基本となります。
ただ、周囲は根気強さと忍耐が必要となりますし、当人が器質的な問題を抱えているケースもありますので、自分が疲弊しそうになったら専門家の協力やアドバイスを仰いでください」
(オトナンサー編集部)



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